青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。4月24日(日)の放送では、経済産業省の実践的な学びの場ワーキンググループ 主査の石原直子(いしはら・なおこ)さんに、「デジタル・スキルを身につけよう! マナビDX(デラックス)」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、石原直子さん、足立梨花
◆近年、進むデジタル化…日本の現状は?
最近、スマートフォン決済や電子チケット、リモートワーク、オンライン授業など、IT(情報技術)を活用した“デジタル化”があらゆるところで進んでいます。
しかし、スイスにある国際経営開発研究所が毎年発表している「世界デジタル競争力ランキング」によると、2021年の日本の総合順位は64ヵ国中28位。このランキングは、政府や企業が、変革に向けてどれだけ積極的にデジタル技術を活用しているかを示している指標で、上位には1位アメリカ、2位香港、3位スウェーデンが並びます。
ちなみに、アジア地域に注目すると、5位シンガポール、12位韓国、15位中国となっています。2018年に30位だった中国は、この3年で一気に順位を上げている一方、日本は徐々に順位を下げ、低迷している状況です。
さらに衝撃的なのは、デジタル・スキルを持った人材のランキングが64ヵ国中62位と、かなり厳しい状況。石原さんは「このまま日本社会全体でデジタル技術の活用が進まないと、2025年以降、最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるという試算も出ている」と危惧します。
ほかのアジアの国々と比べて日本のデジタル化が進んでいない理由は1つではなく、例えば、「情報通信技術への投資が低迷しているから」「抜本的な変革をしなくてもここまでなんとかなっていたので、デジタル化の必要性を強く感じていない」「プライバシーの漏洩など、デジタル化に対する不安感・抵抗感を持つ人が一定数存在する」など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
こうした背景も要因となって、政府は2021年にデジタル庁を創設。これを機に「今後、日本社会はますますデジタル化が促進されていくと言われており、そうすると、次はすべての人に(各自の)役割に応じたデジタル・スキルが求められるようになってくる」と指摘します。
◆デジタル・スキルが身につく「マナビDX」
これから社会人になる世代は、学校で最新のデジタル技術の知識やプログラミングなどのデジタル教育を受けるチャンスがあり、すでに小中学校ではデジタル端末を使った授業がおこなわれています。さらに、今年度から高校の必履修科目に情報科が加わっています。
その一方で、このような教育を受けていない現役の社会人のなかには「加速化するデジタル社会に困惑している人も少なくない」と石原さん。そこで、デジタルに関する知識や能力を習得したい人たちに向けて、経済産業省が新たに立ち上げたのが、ポータルサイト
「マナビDX」です。
このサイトでは“意欲はあっても何から学習すればいいのかが分からない”という人のために「入門/基礎」「実践」など、テーマ別に分類して幅広い教育コンテンツを掲載しています。無料のオンラインコンテンツや有料コンテンツでは、受講費用への補助制度が活用できるものもあります。
石原さんによると、現在200以上のコンテンツが掲載されており「今後は掲載するコンテンツをさらに充実させるとともに、デジタル技術を活用したビジネス課題の解決過程を疑似経験できるプログラムなど、より実践的なプログラムも実装していく予定」と力を込めます。
例えば、AI・機械学習、プログラミング、クラウド、サイバーセキュリティ、データベースなど、聞いたことはあるものの、それが具体的にどういったことなのか、詳しく分からないことをイチから分かりやすく学ぶことができます。
また、1時間の動画を観るだけでAI(人工知能)に関わる基本知識だけでなく、実際に世の中の人がどのようにAIを活用しているのか、どのような仕組みで動いているのかを事例を通して学べるコンテンツも。そうしたAIを自分の日常に活用していけるためのヒントをつかめる内容になっています。
デジタルに関する知識や能力を習得する意欲さえあれば、「家にいながら、世界トップクラスの企業が提供するオンライン教材で学ぶことができる」と石原さん。デジタル・スキルを身につけることによって、「既存の業務の効率化や生産性の向上などを実現させる可能性が広がる」と言います。
経理業務の効率化を例にあげると、経費や交通費を会社に精算してもらう場合、これまではエクセルの表を作って、使用した経費の合計額を出して領収書を添付するなど、手間と時間が必要でした。しかし、最新の経理精算システムの導入で、領収書をスマートフォンなどで写真撮影して入力するスキャン機能や交通系のICカードと連携ができるようになり、自分で数字を入力したり、新たに書類を作ったり、経理部に持ち込んだり、といった作業をなくすことができます。
近年は農業でもICT(情報通信技術)やロボット、AIなどを活用した「スマート農業」が注目を集めています。農業は、その日の天気や気候など自然を相手にしながら作物を育てるため、熟練者による知識やこれまでの経験と勘などが必要とされていましたが、それらをデータ化することによって、水や肥料をあげるタイミングなどの栽培技術を継承することができ、作付け(さくつけ)や収穫した作物の運搬などが自動化され、それによって作業が軽減、労働力不足解消の一助となります。
これらはほんの一例で、「ほかにも、これまでは難しいと思っていたこともデジタル技術を使って解決できる例はたくさんある」と石原さん。最後に「業務のなかで不自由に感じていることを“どうにかしたい”、日常のさまざまな困りごとを“解決したい”と思っている人は、ぜひ
『マナビDX』を活用して、デジタル・スキルを身につけていただければ」とアピールしました。
現在、日本が置かれているデジタル化の現状に驚いたという足立は「2025年以降、最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると聞き、早く取りかからないとまずいと思った」と感想を口にします。
青木も、デジタル・スキルを持った人材のランキングで日本が64ヵ国中62位という状況に驚いたようで、「世界基準で見ると、デジタル化はまだまだ遅れをとっているが、逆にいえば、直すべきところ、改善すべきところ、進化させるべきところなど、伸びしろがたくさんあるということ」と話し、今後の巻き返しに期待していました。
(左から)青木源太、足立梨花
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聴取期限 2022年5月2日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/