本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。
11月9日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと三井住友DSアセットマネジメント株式会社フェローの宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「ハロウィンの“経済効果”と“アメリカ中間選挙”の結果と今後」というテーマでお話を伺いました。
(左から)マンボウやしろ、宗正彰さん、浜崎美保
◆経済効果は2019年でおよそ1,300億円
浜崎:宗さま、今回は「ハロウィンの“経済効果”と“アメリカ中間選挙”の結果と今後」についてお話しいただけるということですが。
やしろ:ハロウィンも終わり、一気に冬が近づいてきた印象ですが、われわれが子どものころのハロウィンって、そんなに広まっていなかったと思うのですが、いかがでしょうか。
宗正:関連グッズの販売は、1970年代から原宿の「キデイランド」で始まっていたようです。ただ、国内での本格的な普及は東京ディズニーランドのハロウィンイベントがきっかけだったと思いますね。
やしろ:確かにそうかもしれないですね。
宗正:それまでは姿を変えることもほぼなかったディズニーキャラクター達が、ハロウィンイベントで仮装して賑やかにパレードをおこなった。その光景は当時としては画期的でしたよね。
その後、店舗数が急増したコンビニでも、ハロウィングッズや飲食関連の商品が数多く並べられて、お店の中もパンプキンカラー一色に染まりました。
やしろ:そうでしたね。オレンジと黒の配色で。
宗正:そして近年のSNSの浸透によって、ハロウィンパーティーの様子や仮装した姿が世界中でシェアされるようになって、一気に広まったということなんですよね。
やしろ:日本のハロウィンを見るためだけに来日したり、参加するためだけに来る方もいると聞きます。ハロウィンの国内の経済効果は、一体どれくらいになるのでしょうか?
宗正:気になる経済効果は、コロナ禍直前の2019年でおよそ1,300億円。国内でハロウィンが広がる前までは、夏休みとクリスマス時期の間に大型イベントがなかった。そこに目をつけたのがビジネス業界で、ハロウィンを季節のイベントマーケティングとして使い始めたということなんです。
やしろ:ところで、その国内の経済効果1,300億円がどれくらいの規模なのか、ちょっと分からないのですが。
宗正:他の季節のイベントで言えば、2月のバレンタインと同じくらいですね。12月のクリスマスと比べると、およそ5分の1程度の経済効果です。歴史が浅いわりには、急速に拡大してきたことが分かりますよね。
やしろ:クリスマスって、そんなに経済効果が大きいんですね。
宗正:そもそもハロウィンの場合は、経済効果全体の3分の2が衣装と飾りつけですから。とは言え、個人でおこなうことの多いイベントの割に経済効果は大きいと思います。
◆アメリカの中間選挙の大きなジンクス
やしろ:そして昨日(11月8日)、アメリカでは政治の一大イベントである中間選挙がおこなわれました。まずは、この選挙の仕組みから教えてください。
宗正:文字通り4年に一度おこなわれる大統領選挙の中間(真ん中の年)に、全米で一斉におこなわれる選挙のことです。具体的には上院と下院の議員選挙、そして州知事選挙ということになります。
アメリカの連邦議会は上院と下院の二院制です。日本で言えば、参議院と衆議院みたいな。全米50州から2名ずつ選ばれる上院の議席数が100で、任期が6年。中間選挙のタイミングで3分の1の議員が改選される。もう一方の下院の議席数は435。これは全米50州の各州の人口に応じて議席数が配分されますが、2年ごとにすべての議員が改選されます。
そして、同時におこなわれる州知事選挙、今回は36の州で州知事選挙がおこなわれる。そして何よりも注目されるのは、現職の大統領が就任して2年後の中間選挙ですから、今回で言えば民主党のバイデン大統領の評価が数字になって表れるということです。
やしろ:今回の中間選挙、アメリカでは選挙前からかなりの盛り上がりを見せていたようですが。
宗正:政治の一大イベントですからね。現政権の民主党と共和党のどちらが勝つのか、こうした事前の予想は半年以上前から繰り広げられてきました。今回の事前の予想では下院で野党共和党が過半数を奪還すると。つまり与野党逆転ですね。
そして、一方の3分の1の議席を改選する上院の方は大接戦ということです。選挙の投票日が近づくにつれて、共和党が議席数を積み増してきていて逆転もあり得るといった見方になっていますが、結果は最後まで分からないですね、何と言っても大接戦ですから。
やしろ:野党であるにもかかわらず、共和党が今回の中間選挙で善戦していると見られている理由は何なんでしょうか。
宗正:事前の情勢調査が主な理由ですが、実はアメリカの中間選挙って大きなジンクスが1つあります。与党、今回であればバイデン大統領側の民主党になりますが、与党はなかなか勝てないっていうのがアメリカの中間選挙なんです。
アメリカが今のような民主党と共和党の二大政党制の形になったのは、日本がまだ江戸時代のころです。その当時から与党が勝ったことは、ほんのわずかです。じゃあ、なぜ勝てないのかというと、アメリカって二大政党制ですから、選挙の度にどちらを選ぼうかなっていう投票スタイルになるんですよね。
その時に実際に投票所まで足を運ぶ人っていうのは、日本でもそうですが、今の政治に不満を持つ有権者が多い。
やしろ:今の政治を変えたいっていう人が投票に行くっていうことですね。
宗正:そうです。今の生活に不満を感じている人のほうが実際の行動に移すということです。現在のアメリカは歴史的な物価高で、およそ40年ぶりのインフレです。アメリカ国民の多くは生活に四苦八苦の状態ですよね。選挙って人の気持ち・感情が結果として出ますから、中間選挙の流れはどうしても今の政権に逆風になりがちです。
◆トランプ元大統領の再登板の可能性は?
やしろ:そして、投開票が終わったばかりのアメリカの中間選挙ですが、ここから先どのような動きや変化がありそうでしょうか。
宗正:1つはトランプ元大統領の再登板です。2年後の大統領選への出馬表明ですよね、間違いなく出てくるでしょう。今回の選挙でトランプ元大統領は、上院・下院の両院で200を超える議員を支持しています。「トランプ印」と言われていますが、今回の選挙で共和党の政治的な優位性が固まれば、トランプ氏のことですから「ほら、俺が推したから」と再登板を表明するでしょうね。
やしろ:共和党の票がそこまで伸びなかった場合はどうでしょうか?
宗正:中間選挙の結果が事前の予想に達しなくても、「これだから、俺が次の大統領選挙に出なきゃダメだ」と言って出てきそうです(笑)。いずれにしても次の大統領に立候補するのであれば、選挙資金の集まり方、それから今のFBIの捜査をけん制する意味からも早めの表明が有利です。
もう1つは、株式市場への影響です。中間選挙が終わると2年後の大統領選挙を意識して、現職の大統領は新たな政策、特に今の状況では景気回復のための積極的な政策を支持率アップのためにどんどん打ってくると思われます。
そうなると「国策に売りなし」「国策は買い」だっていう株の格言がありますが、中間選挙後のアメリカ株式市場は上がるっていうのが結構よくあるパターンなんです。実際に、過去20回の中間選挙の前日から大統領選挙が行われる年の前年末までのアメリカ株式市場のパフォーマンスは、総じてプラスのリターンでした。
やしろ:同じ形で動いているっていうことですね。
宗正:今回の中間選挙は民主党・共和党どちらかの大勝利という結果はなさそうですから、いずれにしても現職のバイデン大統領は2年後の大統領選挙を意識した積極的な政策を打ち出してくるでしょう。だからアメリカの株式市場は上がるという流れですね。
やしろ:アメリカの株が上がれば、日本の株式市場も上がるという考え方で大丈夫なんですか?
宗正:上がる可能性が高いという考え方でいいと思います。マネーの動きに国境はありませんからね。アメリカ政治の一大イベントは、日本の政治経済にもさまざまな形で直結しています。
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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月~木曜17:00~19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:
http://www.tfm.co.jp/sky/