TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。10月8日(木)のお客様は、音楽評論家の湯川れい子さんと、NONA REEVESの西寺郷太さん。没後40年を迎えるジョン・レノンとの貴重なエピソードからスタートです。
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(左から)西寺郷太さん、湯川れい子さん
◆ジョン・レノンが凶弾に倒れた日
――ジョン・レノンとヨーコ・オノの展覧会「DOUBLE FANTASY John&Yoko」の関係者内覧に行って、感動しまくった湯川れい子さん。まずは在りし日のジョン・レノンとのやり取りを振り返ります。
湯川:ジョンが亡くなる4日前に、たまたま「ミルク・アンド・ハニー」をレコーディングしていたスタジオにお電話をして。それでジョンに、“もうじきクリスマスだし、新年だから何かメッセージを言ってください”ってお願いしたら、“来年は必ず日本に行くからね”“ヨーコ(ジョン・レノンの奥様、ヨーコ・オノ)のゆかりの地の九州にも行きたいし、北海道にも行きたい”“メリークリスマス・アンド・ハッピーニューイヤー”って言ってくれて……その4日後でしたからね。今、ラジオを聴いてくれている人は、みんなジョン・レノンが亡くなった日のことを、鮮やかに思い出す人が多いんじゃないかな。
西寺:僕も覚えています。小1でしたけど。
湯川:小学校で覚えてるの?
西寺:めちゃくちゃ覚えています。これはいろいろなところでしゃべっているんですけど、ジョンの訃報を知った学校の先生数人が放課後に校庭でおいおい泣いていて。それが僕はショックで、人が亡くなったことで大人が泣いているみたいな。そのときはビートルズとか知らなかったんですけど、その日のことは本当に鮮明に覚えていますね。
湯川:あれから40年も経っちゃったというのが、ショックなんだけど。でも本当に私はヨーコさんという人が、今日あらためて「ダブル・ファンタジー」展を観て、ジョンと出会ってどれほどの素晴らしいメッセージを発信していたのかってことを痛感して。
ヨーコさんってこんなにすごい人だったんだなって。ジョン・レノンの心のなかにぽっかりと空いていた穴というか、孤独やアーティストとしての傷つきやすさ、繊細さ、優しさ。そんなものも含めて、ヨーコさんだからこそ1つ1つ、ジョンのピース(隙間)を埋めていけたんだなって。
ビートルズという4人の出会いそのものや、ジョージ・マーティンさんとかも含めた出会いも奇跡的だったと思うけど、ヨーコとジョンの出会いも、私は奇跡だったんだなと今日あらためて(「ダブル・ファンタジー」展を観て)思いました。
西寺:でも40歳で亡くなって40年ということは、まだ現在生きていたとしても、80歳……って思うと、僕からしたらすごく若いというか、普通に元気だった可能性の方が高いじゃないですか。
湯川:本当に。どんな音楽を作ってくれていたのかなって。だから今日観た展覧会でも、日本語を一生懸命勉強してくれていたのがわかって。「Love」なんかを聴くと、明らかに俳句の影響があるなと思ったのね。
西寺:Love is real, Real is loveですね。
湯川:だから、ジョンが今生きていたら、もしかしたら日本語で歌を作ってくれていたかもしれないなとか、いろいろなことを感じました。
◆エドワード・ヴァン・ヘイレンの訃報
湯川:亡くなったアーティストの話でいうと、ヴァン・ヘイレンのギタリスト、エドワード・ヴァン・ヘイレン。
西寺:エディは僕にとっては、80年代のいわゆるMTVポップの代表的存在で。ヴァン・ヘイレンがハードロック界というか、洋楽ロックスター全体のシンボルだったというか。それこそエディがギター・ソロで参加したマイケル・ジャクソンの「Beat It(今夜はビート・イット)」とかからどっぷり音楽が好きになっているので。
湯川:そうでしょうね。私はギタリストとしての憧れというよりも、むしろ本当に音楽自体が好きで。ちょうど「全米トップ40」(湯川れい子さんがパーソナリティをつとめた伝説のラジオ番組)で、デイヴィッド・リー・ロス(Vo)がゲストで来てくれたりしてたから。
西寺:湯川さんってレッド・ツェッペリンの日本ツアーとかも帯同されていたじゃないですか。その後に登場した、78年に来日した頃のヴァン・ヘイレンって、どういうイメージだったんですか?
湯川:明るかった。
西寺:明るいですよね、ニコニコして。
湯川:そう。とにかく明るくて、何よりもエディがいつも楽しそうで。
西寺:楽しそうに笑っていますよね(笑)。
湯川:ヘヴィ・ロックな人って、だいたいがヘヴィな顔をしてギターを弾いていたりするけど、彼は全然。
西寺:確かにそういう印象ですね。ニコニコ笑っているじゃんみたいな。
湯川:で、昨日からすごいことになっているんだって。
西寺:それは分かります。
湯川:アルバムがまためちゃくちゃ売れていて。当時「1984」というアルバムがとにかく売れていたけど、1位になるのを死守していたのが、マイケル・ジャクソンの「Thriller」(スリラー)だったんですよね。「Thriller」が発売になって、73週連続で全米1位で。
ヴァン・ヘイレンとしても初めて最大のヒットになるアルバムが出て、全米チャート2位まで行くんだけど、マイケルのアルバムにずっとガードされていて。なんかそのときに因縁があるんだなあと思って。
西寺:アルバム「1984」は、1984年1月9日発売で、まさに新しい年が始まる! って感覚にあふれていますけど、その前段階の「Beat It」にエディがギターで参加したこと、クインシーやマイケルと仕事をしたことがヴァン・ヘイレンの刺激になってヒット・ソング、ヒット・アルバムに繋がったんじゃないかと僕は思ってます。今となってはいろいろなエピソードが出ていますよね。
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来週の「TOKYO SPEAKEASY」のお客様は……
10月26日(月)日比野克彦さん×平論一郎さん×田口智子さん
10月27日(火)羽田美智子さん×田村孝裕さん
10月28日(水)武尊さん×棚橋弘至さん
10月29日(木)えなりかずきさん×Snow Man 阿部亮平さん
がご来店。一体どんな話が飛び出すのか……!? お楽しみに!
<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/speakeasy/