ミュージシャン、デザイナー、作家、俳優、職人など、異なるフィールドを舞台に活躍する“ふたり”が語らうTOKYO FMの番組「三井ホーム presents キュレーターズ~マイスタイル×ユアスタイル~」。今回のゲストは佐藤浩市さん(俳優)×三島有紀子さん(映画監督)。ここでは佐藤さんが、亡き父・三國連太郎さんとの思い出を語りました。
佐藤浩市さん、三島有紀子さん
佐藤さんは1980年に俳優デビュー。翌年、映画「青春の門」でブルーリボン賞新人賞を受賞。日本を代表する俳優として活躍しています。2021年12月には、キャリア初の歌手としてのアルバム『役者唄 60 ALIVE』をリリース。現在放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、上総広常(かずさ・ひろつね)役を演じました。5月27日(金)から全国ロードショーの映画「20歳のソウル」(秋山純監督)にも出演しています。
一方、三島さんは、18歳からインディーズ映画を撮り始め、大学卒業後、NHKに入局。数々の人間ドキュメンタリーを企画・監督。その後、映画を撮るために独立。作家・重松清さんの同名小説を映画化した「幼な子われらに生まれ」(2017年)で、第41回モントリオール世界映画祭審査員特別大賞を受賞しました。
◆原風景は撮影所
三島:浩市さんは、小さい頃に三國連太郎さんの撮影現場をどのように見に行っていたのですか?
佐藤:ほとんど家にいない人だったし、いたとしても妙な異物感しか僕には感じなかったし、食卓にいても嫌だったんですよ、その異物感が。彼は車が好きだったので、ドライブがてら伊豆の松崎に一緒に行くぐらい。
三島:助手席に乗って?
佐藤:そう。それぐらいしか思い出がないです。あとは、なぜか撮影現場にはよく呼んでくれた。感謝しているのは、どうやって映画が作られているのか、彼が何をしているのかを知っていなかったら、自分のなかで(勝手に)心が荒んでいただろうなと。父親が役者ということで、普通ではない家の子として指を刺されるではないけど、ちょっと言われることもあったわけだし。
彼の現場を見て、当時は撮影現場にモニターはないし、フィルムで撮っている。1時間から2時間かけて積み重ねて、ものが作られていくことを知っていなければ、(今の役者としての)自分も違ったのかなと思います。
だから必然的に、出役なのかそうではないかに関わらず、映画作りの現場に参加するのは、そのときからなんとなく出来上がっていたのかな。当時の撮影所に行くと、東京でも京都でもスタジオ数が今の数なんてもんじゃなく、十数のステージがあって、それが見事にシンメトリーに並んでいる。同じセットが両脇にはるか先まで並んでいるわけですから、そこに自分がいる不思議さが自分の原風景と言うか。
三島:同じ建物だけど、(スタジオのセットの)なかには全く違う時代があって、全く違う人間が生きている。
佐藤:本番のランプが消えるとスタジオの大きな扉が開いて、人が出てきて、それを体験させてもらったことが当たり前のように自分に重なりました。
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次回4月29日(金)放送のゲストは、松下奈緒さん(女優、ミュージシャン)×河野伸さん(作・編曲家、キーボーディスト)です。お楽しみに!
<番組概要>
番組名:三井ホーム presents キュレーターズ~マイスタイル×ユアスタイル~
放送日時:毎週金曜 17:00~17:25
ナビゲーター:田中麗奈
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/curators/