吉田美穂がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DUNLOP presents みらい図鑑」。日本の美しい風景、地域で受け継がれる伝統、志を持って活動する人など、100年後の地球に生きる子どもたちへ繋げていきたい“ヒト・モノ・コト”を紹介しています。7月11日(土)の放送では、株式会社まちづくり山上(やまじょう)代表の柳川直子さんに、「中津箒(なかつほうき)」についてお話を伺いました。
10年後の自分が投影される「中津箒」
掃除用具としておなじみの「箒(ほうき)」。かつて、箒の一大産地として栄えた地域があります。それは、神奈川県にある自然豊かな町、愛川町中津。
“ホウキモロコシ”というトウモロコシを使ってつくられるこの町の箒は、「東京箒(とうきょうほうき)」と呼ばれ、全国に大規模出荷されていました。
“ホウキモロコシ”
その全盛期は大正期から昭和20年頃まで続きましたが、昭和30年代後半以降、電化製品の登場によって、愛川町の箒は衰退。
しかし現在、箒づくりの文化を復活させようと、新たな取り組みが始まっています。
箒づくり復活の仕掛人である柳川さんは、「“こんなにたくさんトウモロコシを畑につくって、一体なんだろう?”と。材料は、学名で“ホウキモロコシ”と言うんですね。それを育てるわけですが、畑を耕して、種蒔きをして1本ずつ収穫して、頃合いの良いところを見計らってね。それを乾燥して、職人が箒の形に組み立てていくわけですね。もちろんデザイン性とかも考えます」と話します。
1本ずつ丁寧に収穫
柳川さんが「まちづくり山上」を立ち上げたのは、2003年。材料となるホウキモロコシの確保や職人探しから始まり、自宅の蔵を改装し、箒博物館「市民蔵常右衛門」をオープン。
そこに、ホウキモロコシづくりの担い手や職人たちが集まりました。
1本1本、手づくりで仕上げられていく箒は、地域の名前をとって、「中津箒」と命名されました。
箒博物館「市民蔵常右衛門」
その評判を、柳川さんはこう語ります。
「身近にないから、こんなに軽くてしなやかなのかと驚かれますよね。お気に入りになってきます。10年経ったときの姿を見ていると、自分の使い方が乱暴だったなとか、雑だったなとか、丁寧だったなとか、それがすべて見られるので、とても良いと思います」
10年後の自分が投影される箒。ちょっと背筋を伸ばそう……という気持ちになれるのも素敵ですね。
<番組概要>
番組名:DUNLOP presents みらい図鑑
放送日時:毎週土曜13:55~14:00
パーソナリティ:吉田美穂
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/miraizukan/index.php