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住吉美紀がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生ワイド番組「Blue Ocean」。8月27日(木)放送の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ健康サポート」のコーナーのゲストは、国立がん研究センター中央病院・斎藤豊先生。この日のテーマ「大腸がん」について伺いました。ここでは、番組前半の内容を紹介します。
(左から)住吉美紀、斎藤豊先生
◆大腸がん…日本で増加傾向の理由は?
住吉:新型コロナの感染ももちろん心配ですが、「がん」も差し迫った脅威です。日本人の死亡原因の第1位は、男女ともにがんなんですよね?
斎藤:はい。2016年の統計では、がんにかかっている人数(罹患率)男女計の1位が大腸で、およそ15万8,000人ということになっています。
住吉:大腸がんは、増加傾向でしょうか?
斎藤:世界的規模でみると、例えばアメリカでの大腸がん罹患率・死亡率は順調に減ってきているのですが、なぜか日本では死亡率は下げ止まりで罹患率は逆に増えている。
原因の1つは食生活の欧米化。2つ目は、大腸がん検診の受診率が諸外国に比べて低いことが問題だと言われています。実は日本は、内視鏡診断や治療の技術が世界一と言われているのに、大変残念なことです。
3つ目は、高齢化。年齢が高くなると、大腸がんの罹患率が増えます。それで年齢で調整して死亡率、罹患率を算出するのですが、それでも諸外国と比べて、高いのが現状です。
あとは、「遺伝性大腸がん」というものもあるのですが、そういったものの割合は全体の5%くらいと言われているので、主に生活習慣と年齢などが関係していると思います。ただし、ご家族に大腸がんの方がいる場合は、遺伝性でなくとも大腸がんに罹患する確率が3倍程度高くなると言われていますので注意しましょう。
住吉:罹患すると、どのような症状が現れるのですか?
斎藤:例えば、大腸がんが進行して潰瘍ができると、便に血が混じったり、腹痛、腸閉塞などの症状が出ます。早期がんなど初期の段階では、まったく症状がないことに注意が必要です。
住吉:大腸がんは、早期発見すれば治りやすいと聞きますが?
斎藤:そうですね。例えば、胃がんや食道がんなどと比べても、初期で発見して治療をするとほぼ100%近く治ることが特徴です。また「上皮内がん:癌が粘膜内に限局している」の段階で内視鏡で治療できれば、追加の外科手術や抗がん剤などもいらず、しっかり完治できることがわかっています。
以前は2cmを超えると上皮内癌でも手術が必要でしたが、最近はESDという電気メスで癌をくりぬいてくる治療が普及してきており、5cmや10cmを超えるような癌でも上皮内に限局していればESDで完治が見込めます。
住吉:やはり、早期発見することが非常に大切になってくるんですね。検査は、一般的な「検便による検査」で見つかりますか?
斎藤: 現在、日本では市町村でおこなっている大腸がん検診「便潜血検査」の対象年齢は40歳以上が一般的。毎年しっかり受けてください(逐年検診)。1回でも陽性になったら、精密検査「全大腸内視鏡検査」を受けることで、大腸がんの罹患率・死亡率を減らすことができることがわかっています。
住吉:検査方法は「便潜血検査」「内視鏡検査」の2つですか?
斎藤:一番の精密検査は「全大腸内視鏡検査」です。長い胃カメラのようなものです。カメラを肛門から入れて、大腸の一番奥の盲腸までくまなく見ていきます。
住吉:“見落とし”は、便潜血検査よりも少ない?
斎藤:便潜血検査は、基本的にある程度進行したがん=外科手術をすることで治る大腸がんを見つけるための検査です。ただ、内視鏡で治療が可能ですと、その日のうちに歩くことができて、普通に食事もとれて、今までと変わらない生活ができます。
そういった侵襲の低い治療法で大腸がんを予防するためにも40歳 あるいは 50歳を越えたら1回は人間ドックなどで大腸内視鏡を受けることをおすすめします。前にも言いましたが、特にご家族で大腸がんの方がいる人は要注意です。
住吉:私も昨年初めて体験しました。検査前に飲む下剤が大変でしたけど、検査自体は“気づいたら終わっていた”という感じで、これを数年に1度受けていれば安心ということであれば、受けたほうがいいなと強く思いました。
斎藤:そうですね。車も車検をすると思いますが、やはり自分の体は一番大切ですので、しっかり検査を受けてメンテナンスするということが重要です。昔は、“大腸内視鏡は出産よりもつらかった”って言う人もいましたが、今は内視鏡も年々改良されており、熟練した医師であれば、カメラを奥まで痛み無くスムーズに入れられるようになってきています。下剤を飲むのは大変だけど、内視鏡自体は胃カメラよりも楽という方が多いです。
<番組概要>
番組名:Blue Ocean
放送日時 :毎週月~金曜9:00~11:00
パーソナリティ:住吉美紀
番組Webサイト:
http://www.tfm.co.jp/bo/