青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。5月8日(日)の放送では、厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課長の古瀬陽子(ふるせ・ようこ)さんに、「パパ・ママを笑顔にする新しい育児休業制度」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、古瀬陽子さん、足立梨花
◆育児休業…男性はわずか12.65%
育児休業とは、子どもが1歳になるまでパパ・ママどちらも育児をするために休業できる制度です。育児・介護休業法が施行されて30年、ひと昔前は家事や育児は女性に偏りがちでしたが、近年は積極的に子育てをしたい男性が増えて、それを後押しする制度や取り組みも徐々に充実してきました。
しかし、育児休業を取得した女性は2007年度から80%台で推移しているのに対して、男性は2020年度12.65%、2019年度7%台とかなり低く、2020年度に初めて10%を超えたのが現状です。
ちなみに、男性の正社員に育児休業制度を利用しなかった理由を調査したところ、
・収入を減らしたくなかったから
・職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だから
・会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから
・自分にしかできない仕事や担当している仕事があったから
といった声が多くあがっています。
そこで、育児・介護休業法が改正されて段階的に新しい制度が施行されています。すでに今年4月から事業主に対して義務化が始まったものもあり、その1つが「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」です。
今回義務化されたのは、「育児休業に関する研修の実施」「育児休業の相談窓口設置」「育児休業の取得事例の収集・提供」「育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知」の4つの措置のなかから1つ以上をおこなうこと。
そのほか、妊娠・出産の申し出をした労働者に対して、事業主は育児休業制度などの内容を伝え、そのうえで休業する意向があるかないかの確認を個別におこなうことを義務付けました。これは女性だけではなく、男性が配偶者の妊娠・出産を申し出た場合も対象になります。
また、意向確認のときに「取得しない」を選択したとしても育児休業を取得することができますが、「育児休業の取得を希望する場合は、早めに申し出ると会社も本人も休業に向けてしっかり準備ができるので、スムーズに育児休業が始められる」と古瀬さん。会社側が雇用環境整備をおこなって早めに申し出をしやすい職場にすること、労働者も早めに申し出て業務の引継ぎなどの準備をすることが円滑な育児休業のコツと言えそうです。
◆10月から施行される「産後パパ育休」とは?
さらに、「産後パパ育休(出生時育児休業)」という新たな制度が10月に創設されます。この制度について、古瀬さんは「原則、休業の2週間前までに申し出れば、出生後8週間以内の期間に4週間まで休業できます」と説明します。
出産直後はママの体が回復しておらず、身体的にも精神的にも不安定になる時期であるうえに、赤ちゃんにミルクを短時間おきに与えなければならないなど、まとまった睡眠を取ることが難しいため、「この時期にパパが休業を取って赤ちゃんの世話をするだけでなく、家事やほかの子どもの世話をすれば、ママの体の回復を助けることができる」とメリットを挙げます。
産後パパ育休は、初めにまとめて申し出れば2回に分割して取得することが可能。また、育児休業とは別のものなので両方利用することができるため、パパとママが話し合って休業するタイミングを上手に組み合わせれば、育児の負担がママに偏るの軽減することができます。
また、古瀬さんは「労使協定を締結している場合に限り、産後パパ育休を取得している期間でも働くことは可能」言います。これまでは、育休を利用したいものの休業中にどうしてもはずせない仕事がある場合、「育休を取得しないで働く」もしくは「育休をとって働かない」の2択しかできませんでしたが、産後パパ育休であれば、働ける日数などに上限はあるものの、休業中も働くことができ、その分の賃金もきちんと支払われます。
“自分が休むと業務に支障が出るのではないか”など、長期の育児休業取得に不安がある人は、「産後パパ育休でまず短期間の休業を試してみてから、長めの育児休業の取得を考えてみるという活用もできる」とポイントを挙げます。
特に初めての育児の場合は、パパもママもわからないことだらけのスタートとあって「ミルクの飲ませ方、ゲップのさせ方、お風呂の入れ方など、育児の“初めて”をパパとママが一緒に経験して育児の喜びなどを共有すると、その後の育児への関わり方が向上したり、夫婦の関係がより良くなったりすることも期待できる」と力を込めます。
そのほか、男性が育児休業を取得することで子どもの成長を直に見られるのはもちろん、仕事と育児の両立ができるような業務の進め方を見直すきっかけにもなり、時間管理能力や効率的な働き方が身に付きます。また、育児をママだけが背負い込むことがなくなるので、「ママにとっても育児と仕事の両立がしやすくなり、仕事をしているママもしていないママも、社会復帰の意欲に良い影響が期待できます。さらに、企業にとっても仕事の進め方や働き方を見直すきっかけにもなる」とメリットを挙げます。
あらためて、「今回の改正は“男性の育児休業取得促進”が1つの大きな柱です。今は共働きの家庭が3分の2を占めています。“男は仕事、女は家庭”という昭和の時代から続く夫婦の役割分担に関する意識もかなり変化してきており、子育てを夫婦2人でやりたいという若い世代の方も多くなっています。ここでさらに一歩、男性の育休取得を進めて男性の育休が当たり前の社会となっていき、男性でも女性でも、希望する方が安心して育児休業を取得できるような社会にしていきたいと考えています」と古瀬さん。
さらには、「1人でも多くの男性が育児休業を積極的に取得できるように、周りの方もご協力をお願いします。これから育児の機会がある男性は、ぜひ新しい育児休業制度を積極的に活用して、育児をする幸せを味わってください。そして、育児休業を取って終わりではなく、育児休業はこれから続く育児の入口であることを意識していただければ」と呼びかけました。
足立は、産後パパ育休と育児休業が別物であることに触れ「その両方を利用できると知り、この制度をもっとたくさんの人が活用できればいいなと思いました」と感想を口にします。
これに青木も、「知らないことがたくさんありました。会社側、労働者側、双方が知っておきたいことですね」と大きくうなずきつつ、新たな制度の施行によって選択肢が増えたこともあり、より多くの人への普及に期待していました。
(左から)青木源太、足立梨花
----------------------------------------------------
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2022年5月16日(月) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒
詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------
<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/