青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。5月1日(日)の放送では、海上保安庁・総務部政務課・政策評価広報室長の中林久子(なかばやし・ひさこ)さんに、「海の安全を守る! 海上保安官の世界」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、中林久子さん、足立梨花
◆女性の活躍、女性が働きやすい環境を整備
これまでに海上保安署長、海上保安部長を歴任してきた中林さん。そのどちらも女性初で、後に続く女性海上保安官の星と言うべき存在です。
現在、およそ1万4,000人の海上保安官のうち、女性は約1,000名。全体の8%ほどですが、近年は女性の活躍の場が広がっており、キャリアアップについて「男女の差はありません」と中林さん。女性も船長やパイロットとして活躍していて、制度についても産休や育休制度など充実しており、女性が働きやすい環境づくりが進んでいます。
ちなみに、海上保安官が救助活動などで利用する船や飛行機、ヘリコプターには、海上保安庁の所属であることを識別するために、アルファベットの「S」が記されています。これは海上保安庁の役割である「Security(警備)」「Search & Rescue(捜索・救助)」「Safety(安全・安心)」「Survey(調査)」の頭文字の「S」、さらにはモットーとしている「Speed」「Smart」「Smile」「Service」の頭文字でもある「S」が由来。こうしたことからも、海上保安庁の役割が多岐にわたっていることがうかがえます。
また日本は海に囲まれた海洋国家のため、貿易や漁業により恵みを得る一方で、「海の事故や密輸・密漁などの海上犯罪も発生します。また領土や海洋資源を巡って国家間の主権・主張の場にもなっている」と言い、海上交通や漁業、マリンレジャーなど、さまざまな活動の場として多くの人が利用しているため、「国民のみなさんが安心して海を利用し、さまざまな恩恵を受けられるように、海上保安庁では関係国と連携・協力関係を図りつつ、海上における犯罪の取り締まり、領海警備、海難救助、環境保全、災害対応、海洋調査、船舶の航行安全などの活動をおこなっています」と中林さん。
海における犯罪というと密輸や密漁などを思い浮かべると思いますが、そのほかにも、油などの不法排出、廃棄物・廃船の不法投棄などの法令違反があるのが現状です。そのため、巡視船や航空機などを用いて、こうした違反がおこなわれていないかを監視・取り締まりを実施したり、海洋汚染の調査、青い海を守るための指導・啓発活動もおこなっています。
さらに、船舶の事故による火災発生に対応するほか、地震、集中豪雨、台風など、陸上における自然災害が発生した場合には、被災者の救出、人員・救援物質の緊急輸送、被害状況の調査などの災害応急活動も。船には大きな清水タンクや発電機が備わっているため、今年3月に東北地方で地震が発生した際には、給水支援や携帯電話の充電などができる環境を提供するなど、災害現場でも活躍しています。
◆多岐にわたる海上保安官の仕事
海上保安官の仕事でよく知られているのは“海猿”とも呼ばれる「潜水士」。転覆や沈没した船に取り残された方を救出したり、海上で行方不明になった方を探したりする、いわば海のスペシャリストです。それ以外にも、集団による海上デモやテロ警戒などに対応する「特別警備隊」や救急救命処置ができる「救急救命士」、そのほか「鑑識官」「試験研究官」など多種多様の職種があります。
また、空に航空管制官がいるように海にも「管制官」がいます。船が多く行き来する東京湾や大阪湾などの海域には、海上交通センターが設置されており、24時間365日レーダーなどを使って船の動きを把握し、船の安全運航に必要な情報提供や航行管制などをおこなっています。
ほかにも、地震や火山噴火などの防災に備えるために、海底地殻変動観測や海域火山の監視観測をする「海洋防災調査官」、船舶の航海に不可欠な海図、海の地図を最新の状態に維持するための補正図などの編集をする「海洋情報編集官」、灯台や航路の標識などの設計をおこなう「建築士」など多岐にわたります。
さらに、警察に110番、消防に119番があるように、海上保安庁にも海の上における事件・事故の緊急通報用の電話番号「118番」があり、118番の受付などをおこなう「運用司令センターの運用官」もいます。
船の事故や海水浴場などでの事故を目撃した場合や自分自身が巻き込まれた場合、また、事故だけでなく、不審な船や密漁などの犯罪行為を見つけた場合、海に油が広がっているのを見つけた場合などには118番に通報してください。通報すると、海上保安庁につながります。
◆海上保安官の仕事に就くには?
海上保安庁には、いくつかの採用制度があり、1つは海上保安官を養成している海上保安大学校、海上保安学校に入学する方法。「ここでは、それぞれのコースに応じて1年から4年9ヵ月間の教育を受けた後に現場へ配属される」と中川さん。そのほか、海技免状などの有資格者を対象とした海上保安学校門司分校で、半年間の教育を受けた後に現場へ配属される方法もあります。
改めて、「海上保安庁の仕事には、海上勤務だけでなく陸上勤務や海外勤務などのさまざまな活躍の場があります。自分の可能性が何なのか探してみたい、あるいは探求してみたい、自分の力を日本のために活かしたいと思っている方は、ぜひ
『海上保安官 募集』で検索して、海上保安官の扉を叩いていただければ」とアピールし、「一緒に日本の海を守っていきましょう!」と呼びかけました。
これからレジャーやマリンスポーツを楽しむシーズンを迎えるとあって、足立は「何も起こらないことが一番ですが、万が一(海で)事故が起こってしまったり、人が流されてしまったり、そうした現場を見た方は『118番』に電話して助けを求める。この番号を知っておくことは大事。110番、119番とともに『118番』も覚えておいてほしい」と強調。
青木は、人命救助や犯罪捜査など多岐にわたる海上保安官の仕事のなかでも、青い海を守るための指導や啓発活動をおこなっている「環境保全」に着目。「日本は海に囲まれた国。1人の国民として、青い海を海上保安庁の方々と一緒に守っていきたい」と話しました。
(左から)青木源太、足立梨花
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/