俳優・石丸幹二がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「Grand Seiko THE NATURE OF TIME」(毎週土曜12:00~12:25)。各界で活躍するゲストを迎え、毎週1つのキーワードから“自分を支えている本質”を掘り下げて伺っていきます。
2022年5月のマンスリーゲストは、バイオリン奏者の古澤巖(ふるさわ ・いわお)さん。この記事では、指揮者 レナード・バーンスタインとの出会いについて語った5月7日(土)放送の模様を紹介します。
石丸幹二、古澤巖さん
石丸:このサロンでは、人生で大切にしている“ひと”や“こと”についてお伺いしております。今日はどんなお話をお聞かせいただけますか?
古澤:今回は「バーンスタインの感性」についてです。
石丸:ということは、レナード・バーンスタインですね。
古澤:指揮者でもあり、あの「ウエスト・サイド・ストーリー」の作曲家としても知られています。
石丸:また、ピアニストでもあり、(ヘルベルト・フォン・)カラヤンとともに2000年に入る前のスーパースターだった方ですよね。古澤さんは、バーンスタインにお会いして、そして共演されていると伺っているんですけど。
古澤:細かく説明すると、僕がアメリカのカーティス音楽院というところに留学していたんです。そこに我々学生のオーケストラがあるんですけど、コンサートや練習も含めて、幾度となくバーンスタインが来てくれたんですね。
石丸:そういうことだったんですか!
古澤:夢のような学校に“僕はいたんだな……”とあらためて思います。普通、音楽学校に(教えに)来るなんてありえないんですよ。そのくらい、プロの指揮者と学生のオーケストラというのはそれなりに距離があると思うんですが、バーンスタインが来たときにはびっくりしました。
もちろんほかにも(セルジュ・)チェリビダッケとか、ありえないようなすごい人が我々のオーケストラに付き合ってくださったんですが、バーンスタインほどあんなに素敵な音楽家に会ったのは“最初で最後かな”というぐらいの印象をいまだに持っています。
石丸:どういうところが素敵だったんですか?
古澤:まず、彼が(タクトを)振るじゃないですか。それだけでオーケストラの仲間たちが幸せいっぱいになっているんですよ。ただそれだけで。でね、バーンスタインは常にご機嫌で、何かある度に「オー、センセーショナル!」っていう台詞ばっかり叫んでいましたね。
石丸:そうなんですね。
古澤:僕は指揮者じゃないから細かいことはちょっと分からないんですが、指揮って不思議なもので、こっちをその気にさせてくれるカリスマ性だけじゃないんです。例えば、(バーンスタインが作曲した)「ウエスト・サイド・ストーリー」は、ラテンの音楽がものすごくたくさんあるのですが、そもそもクラシックとラテンはあんまり関係がないんですよね。
多分、ラテンのリズムとクラシック音楽をちゃんと両方分かっている人ってとても少ないんじゃないかと思うんですが、そういう人(バーンスタイン)ならではのビート感とかセンスだからこそ、オーケストラでタクトを振るときに……それこそ「ハリー・ポッター」ですよ。
石丸:私、今度「ハリー・ポッター(舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」)」を演じます(笑)。
古澤:そのハリー・ポッターのように、あの棒でパッと我々に魔力をかけてくれるんですよね。
石丸:すごい!
古澤:夢のようにみんなを幸せにしながら、素敵な音楽が爆発的に奏でられていることに僕は本当に憧れました。何も小難しいことを1つもせずに、すべてが幸せにときが過ぎていく……。実は僕は小さい頃から音楽の訓練を受けた人間で、カッコよく言うと「ゴルゴ13」みたいな人生なんですよ。
石丸:“「ゴルゴ13」の人生”って、どういうことですか?
古澤:「ゴルゴ13」って、趣味で人を殺めているわけではなくて、あくまでも仕事でやっていて、技術がすごいから仕事を頼まれるんですけど。きっと(ゴルゴ13は)ちっちゃい頃にすごい苦労をして、したくもない訓練を泣きながらしたんだろうな、と。
そして、大人になって、今の仕事を仕方なくやっているのかどうかは知りませんけど、世界最高の技術者として活躍するという話なんです。我々も小さい頃から、泣きながらやりたくもない練習をしながら大人になってしまって。
石丸:“音楽家あるある”ですよね。
古澤:そうですね。僕と違って、葉加瀬(太郎)くんは子どもの頃からやりたくてやっていた子なんですよ。周りにもそういう子はいましたけど、僕の場合は葉加瀬くんと違って、とにかくやりたくなかったんですよ。親にやらされたクチでね。
そんなわけだから、音楽に対してはそんなにピンとこなかったんだけど、バーンスタインに会った瞬間に“すごい! 人間と音楽でこんなに神がかったことが起こるの!?”って、あのときは本当に思いましたね。
次回5月14日(土)の放送も、引き続き古澤巖さんをお迎えしてお届けします。どうぞお楽しみに!
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聴取期限 2022年5月15日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:Grand Seiko THE NATURE OF TIME
放送日時:毎週土曜 12:00~12:25
パーソナリティ:石丸幹二
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/nature/