吉田美穂がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DUNLOP presents みらい図鑑」。日本の美しい風景、地域で受け継がれる伝統、志を持って活動する人など、100年後の地球に生きる子どもたちへ繋げていきたい“ヒト・モノ・コト”を紹介しています。今回の放送では、越生(おごせ)うちわメーカーの「うちわ工房しまの」5代目島野博行さんにお話を伺いました。
仰ぐ部分が横一文字になるので強度が増し、強いうちわになるのが「越生うちわ」の特徴です。
埼玉県のほぼ中央にある越生(おごせ)町。江戸時代から「うちわ」の生産で有名な地域です。柄に直交する肩竹を組み入れることにより、独特の強さを持った一文字うちわとなるのが特徴です。
肩竹の部分から紐を上に引っ張り上げ、骨を編んでいくのですが、高く引き上げながら編むことで、貼りが強くなり、強い風が起こせます。さらに、柿渋を塗り、強度を増したことで、七輪などのかまどに風を送る“お勝手道具”として、昔から重宝されてきました。
材料となる、竹や紙、いぐさが地域でとれていたことで、生産が盛んになった「越生うちわ」。明治時代には、1年間に240万本が作られていましたが、時代の変化とともにそのニーズも減少。現在、その伝統を受け継いでいるのは、たった1軒だけとなっています。
1950年代の越生うちわ製作の様子
それが、「うちわ工房しまの」。工房では、「オリジナルうちわ作り体験」もおこなっています。5代目・島野博行さんにお話をうかがいました。
「自分でデザインして貼り込んだうちわであれば、うちわのファンになってくれると思ったんですよね。そのファンづくりの一環として始めたんですよ。」
昔の用途に合わせて強度に特化したものだけでなく、押し花を入れたり、和紙を貼ったり……気に入ったデザインのうちわを作ることで、愛着がわき、身近において楽しむことができます。
「夏の赤いもみじと緑のもみじの押し葉を集めまして、それを入れてもらうようにしているんですね。完成したときは、皆さん、凄くいい顔をされるので、こちらも本当に嬉しいんですね。そんなことで、ずっとうちわ貼り体験をしています。」
あおげば風が生まれるのはもちろん、そこにあるだけで、風を感じることができるのがうちわの魅力。家にうちわを1本置く。それだけで、夏の体感温度が変わるかもしれませんね。
<番組概要>
番組名:DUNLOP presents みらい図鑑
放送日時:毎週土曜13:55~14:00
パーソナリティ:吉田美穂
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/miraizukan/index.php