笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。9月3日(土)の放送は、株式会社TART(タルト)代表取締役の高瀬俊明(たかせ・としあき)さんをゲストに迎え、お届けしました。
(左から)笹川友里、高瀬俊明さん
高瀬さんは、2010年に早稲田大学理工学部卒業後、資生堂に入社。2014年に独立し、Webサービスの事業開発に従事。2016年からブロックチェーンを活用した事業開発をスタートさせ、2019年にTARTを創業。2021年からはソーシャルトークンの管理プラットフォームの開発やNFTを活用した寄付事業なども展開しています。
◆TART の主な取り組み
近年、NFT(非代替性トークン)をはじめ、ブロックチェーン(分散型台帳技術と呼ばれる技術の1つ)やWeb3(ブロックチェーン技術によって構築される次世代の分散型インターネットの総称)といった言葉を見聞きするようになりましたが、高瀬さんは「“これをどのように使ったらいいのか”“何ができるのか”と考えていくことがなかなか難しいので、そこを分かりやすくお伝えしたり、アーティストさんが『こんなことをするためにNFTを使いたい』といったこと(を実現させるため)のお力添えをしている」と会社の取り組みを紹介。
高瀬さんによると、NFTアートに関心がありながら“未知の分野で(作り方が)難しい”というアーティストが多くいるそうで、そんな方々に向けて「手がけた作品をNFTでどのような形でお届けすると魅力的になるのか、そして、アーティストが“やりたい”と思っていることに対して、どうすれば実現できるのかを一緒に考え、最終的には、エンジニアと一緒に実装して世の中にお届けする、という一連の流れを最初から最後までお手伝いしている」と話します。
◆ブロックチェーンに感じた魅力
高瀬さんが、ブロックチェーンの領域に惹かれた理由として「僕自身にすごく可能性を見出してくれる、個人に対してすごくやさしいテクノロジーだと思ったから。社会の効率をより良くするために、現在ではAI(人工知能)などさまざまな技術が活用されているが、ブロックチェーンはそれらとは少し違うレイヤー(階層)にいるというか。思想があって、みんなが平等でフェアに何かがおこなえるようになる、金融サービスやアート作品にアクセスできるようになるなど、個人により力を与える仕組みに感動した」と振り返ります。
そんなきっかけもあって、高瀬さんは2016年からブロックチェーンを活用した事業開発に取り組み、2019年にTARTを起業。これまでの活動を通して、「今後の経済活動を加速するためにも、ブロックチェーンはすごく活きてくると思うし、社会のためになる技術だなと実感している」と語ります。
◆NFTが地方創生やアーティスト活動の一助に!?
ブロックチェーン技術を駆使した取り組みとして、人口約800人の限界集落で、泳ぐ宝石「錦鯉」発祥の地として知られる新潟県長岡市の山古志地域とTARTが手を組み、地域活性化に一役買った事例を紹介。
とはいえ、「これをほかの自治体が同じことをそのままやればうまくいくかというと、そうではない。(各自治体に合わせて)一つひとつ丁寧に考えていく必要がある」と高瀬さん。
山古志のケースでは、「地元に“やりたい!”という熱意を持った方がいらっしゃったのに加えて、地域との連携を図るプロフェッショナルの方、我々のようなIT組織、そして、NFTのトレンドが分かる人など、いろいろなプレーヤーが多角的にプロジェクトに入ることで実現した」と分析。
また、山古志の「錦鯉」のように地域に象徴となるものがなくても、「(象徴となるものを)どう作っていくのか。今なければ“新しく作る”というところも含めて考えていく。“地方創生”という言葉のなかで、いろんな方々がチャレンジしてきた課題をオンラインでも同じように取り組む必要があるので、決して簡単な話ではないが、何もない地域の人たちにも、それができれば何かを1つ達成したと言えるのではないか」と持論を展開します。
ちなみに、山古志の錦鯉NFTの所有者は、自身のことを“デジタル村民”と呼称し、実際にその地域を訪れることを「帰省」と呼んでいるそうで、「錦鯉NFTを持っている人たちが“山古志に属している”ということをリアルに感じてくれているからこそ、こうしたコミュニケーションが成り立っているのだと思う。それは錦鯉NFTでの発見であり、魅力かなと思う」と語ります。
また、アーティストに向けてNFTの発行支援をおこなってきたなか、「今まで注目されていなかったけど、本当に魅力的な活動をしているアーティストが、ファンの方たちに支えられながら、小さな経済を回すことができるようになってきている」と実感を語ります。そして、今後の展望について「魅力的な熱量を持った方たちが、そこで一生懸命トライして、しっかり活動できるような土台を作っていければ」と語りました。
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先月から夏の特集企画として、Web3に取り組む起業家、アーティスト、街づくりの実践者らに直接インタビューをする「Web3のフロントランナーに聞く」を開催。笹川友里とゲストの他に、経済コンテンツメディア「PIVOT」チーフ・グローバルエディターの竹下隆一郎が加わり、収録では聴き足りなかったこと、より深掘りしたかったことを追加で質問。そのトークの模様をPIVOTのアプリや公式YouTubeで配信しています。
次回9月10日(土)の放送は、山古志住民会議代表の竹内春華(たけうち・はるか)さんをゲストに迎えてお届けします。NFTと限界集落をマッチングさせたアイデアやそれによって地域に生まれた変化など、貴重な話が聴けるかも!? どうぞお楽しみに!
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聴取期限 2022年9月11日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/