藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMの番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」。10月15日(土)の放送では、陸上女子中長距離界のエース、田中希実(たなか・のぞみ)選手をゲストに迎えて、お届けしました。
(左から)藤木直人、田中希実選手(PC画面)、高見侑里
田中選手は、豊田自動織機所属、兵庫県出身の23歳。陸上競技の女子1,000m、1,500m、3,000mの日本記録保持者で、昨年開催された東京オリンピックでは、女子1,500m 、5,000mの2種目に出場。1,500mでは8位となり、この種目で日本勢初の入賞を果たしました。そして今年、米・オレゴンで開催された世界陸上では、日本人選手初となる800m、1,500m、5,000mの3種目に出場しました。
◆世界陸上3種目出場の裏側
藤木:世界陸上で3種目に挑戦されました。日本だけではなく世界中が驚いたと思いますが、(東京五輪で走った1,500m 、5,000mに加えて)800mも走ろうと思った理由は何だったのでしょうか?
田中:実は、締め切りまでには800mの(標準記録の)タイムも切れていないし、権利を取れるようなポイントも稼げていなくて難しかったので、いったんは1,500mと5,000mの2種目で臨もうと気持ちを切り替えていたんですけど、辞退者が出たことで、結果的に800mの出場権利も入ってきた形になります。
そして、改めて“3種目に挑戦するかどうか”を考えてみて、一度は800mを諦めたのにも関わらず(出場権利を)いただけた、という運を大事にしたい。また、出ることで初めて得られるものもあるんじゃないかと考えて「とりあえずやってみよう」と3種目出場を決めました。
藤木:3種目にエントリーするということは、当然スケジュールもタイトになりますし、距離によっても求められることがそれぞれ違ってくるんじゃないですか?
田中:そうですね。世界レベルになってきたら、1,500mと5,000mとか(でエントリーする選手)はときどきいるんですけど、800mと5,000mをやっている選手はあまりいないので。そこの部分でやっぱり難しいところは多いかなと思います。
藤木:3種目それぞれに目標や目的は設定されていたんですか?
田中:やっぱりまだまだ力が及んでいない部分もあったので、1,500mに関しても、去年(東京オリンピック)は5,000mで予選落ちしてしまい、1種目に懸けるのと同じような気持ちで1,500mに臨んで、やっとの入賞だったんです。
なので、3種目それぞれの目標を決めたとしても、現実的に無理なことが多いからこそ、今回はあまり目標を決めずに“とにかく経験してみる”ということを第一に考えました。
振り返ってみたら、東京オリンピックのときも明確な目標は立てずに臨んで結果が出せたので、“うまく波に乗っていければ何か得られるかもしれない”というイメージで走りました。
藤木:9日間で5レースになったわけですよね。やっぱり(体力の)回復は大変だったんでしょうか?
田中:今まで、合宿中などでは朝起きた瞬間に体が重いという状況はあったんですが、レース期間中は、種目が重なっていてもそこまでヘトヘトになることがあまりなかったんです。でも、今回の世界陸上では、5,000mの予選が終わったぐらいからヘトヘトになっていたので、ちょっと自分のなかで焦ることはありました。
◆ハッサン選手の前で大泣き
藤木:東京オリンピックで3種目に出場し、5,000mと10,000mで金メダルを獲得したオランダのシファン・ハッサン選手が、田中選手が3種目に挑戦したことを称えていましたが、それを聞いたときはどう思いましたか?
田中:まず、ハッサン選手にしっかり認識されているということがうれしかったですし、その部分でも3種目に挑戦して良かったなと思います。また、(レースが)終わってから、ちょっと落ち込んでいたというか、気持ちの整理がつかなかったときに、ハッサン選手の言葉が自分にとって本当に勇気と支えになったと思います。
藤木:5,000m決勝の後、田中選手がハッサン選手に話しかけに行ったように見えたんですけど、何かお話をされたんですか?
田中:5,000mの決勝前に、ハッサン選手から「頑張って」というメッセージをメディア関係者の方から父を通していただいていたので、そのことに対してのお礼ですね。私は英語が全然できなくて「Thank you」しか言えなかったんですけど(苦笑)。
藤木:しかも、ハッサン選手から何かプレゼントをもらったんですか?
田中:そうですね。テレビに映っていたのは、その一瞬のやり取りだったんですけど、トラックから出て荷物を置いている控え室でハッサン選手ともう1回会ったときに、私が泣いてしまって。
そうしたら、ハッサン選手が「あなたのことを誇りに思うよ」となぐさめてくれて、アップで着ていたTシャツとビブスを私にくれたんです。それがすごくうれしかったです。
藤木:ハッサン選手もなかなか結果が出ないときに大泣きしたという経験があるからこそ、心から田中選手に“頑張ってほしい”という思いがあったのではないでしょうか。
田中:ハッサン選手の昔のエピソードを聞いて“ハッサン選手みたいな人にもそういう時期があったんだな”と思って、ホッとしたりもしています。
次回10月22日(土)の放送も、引き続き田中選手をゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!
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聴取期限 2022年10月23日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時:毎週土曜 10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/beat/