お笑いコンビ・麒麟の川島明がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「SUBARU Wonderful Journey 土曜日のエウレカ」。「あなたの心を、ここではないどこかへ」をテーマに、ゲストの「ココロが動く(=エウレカ)思い入れのある場所」へと案内していきます。
4月9日(土)放送のお客様は、料理研究家・土井善晴さん。ここでは、“献立を考えるポイント”について語りました。
土井善晴さん
1957年、大阪府出身。お父様は料理研究家の土井勝さん。大学卒業後、スイスとフランスでフランス料理を、大阪の名店「味吉兆」で日本料理を修行。「土井勝料理学校」の講師を経て、1992年に「おいしいもの研究所」を設立。2016年に出版したエッセイ集「一汁一菜でよいという提案」(グラフィック社)は20万部を超える大ベストセラーを記録。
また、料理番組「おかずのクッキング」(テレビ朝日系)、「きょうの料理」(NHK Eテレ)など多数のテレビ番組にも出演。お父様の勝さんと親子2代で司会を務めた「おかずのクッキング」は、今年3月に惜しまれつつ48年の歴史に幕を閉じました。その他、食育の講演会、大学講師、レストランプロデュースなど多岐にわたり活躍する大人気料理研究家です。
TOKYO FMの番組「SUBARU Wonderful Journey 土曜日のエウレカ」4月9日(土)ゲスト:土井善晴さん
◆今日の“自然”と“状況”を見て料理を作る
川島:料理のアイデアってどうやって生み出しているんですか?
土井:料理ってね、「何かしようと思わないこと」ですよ。
川島:(笑)。達人の意見ですよ。
土井:「今晩は何を作ろう」って思うでしょう? そうしたら自然のほうを見るわけですわ。アスパラガスとか、ふきのとうとかを見て「天ぷらにしてみよう」とか。まず、季節に聞くこと。自然を見ているうちは何の工夫もする必要はないんですわ。
川島:とにかく素材を見るということですね。
土井:そうです。今度は内側、家族を見るでしょ。「そういえば歯が痛いと言って、歯医者に行っていたな」みたいなことを思ったとき、そこに“工夫する理由”があるんですよ。
川島:調理の意味が出てくる。
土井:そうそう。今日という日は二度とないわけやから。今日の天気を聞いて、(冷蔵庫に)あるもの、食材を見る。そして、今日の状況。「時間はこんだけしかない。今からさっと作ってあげなあかん」っていう“条件”を作っていく。「今、これしか作られへん」っていうのは、工夫がないと作られへんのですわ。
川島:最初にスマホ(でレシピサイト)を見て「今日はハンバーグやな」みたいな方法だと、調理時間に無理が出てくるし、高い素材を買うかもしれないってことですね。
土井:そう。たとえば芋だと、“芋の時間”っていうものがあるんですよ。
川島:芋の時間!?
土井:人間の都合で強火にしたら、芋のご機嫌は悪うなります。必ず煮崩れてしまう。芋をご機嫌にするプロセスが大事なんですわ。
川島:結果だけじゃなく、どう食材が過ごしたか。面白い。
土井:「結果を求めるな」いうことですね。
川島:完成図ばっかり見てちゃだめですよね。
土井:それこそ、食材というのはいつも違うから。熟したりんごもあれば若いりんごもある。
川島:自然が作るものですもんね。
土井:自然が作るものを人間がどうこうして、それに“責任”を感じたらしんどいんですよ。たとえば、魚に油が乗っているときもあれば乗っていないときもありますよね。それ、そのままでいいんですよ。
川島:油が乗っていないなら乗っていないなりに活かす?
土井:そうそう。魚を煮付けているとき「今日は油が浮いてこないな」って思うときは、大さじ1杯の植物油を垂らしたっていいわけですよ。それは“思うからできること”なんで、それなりでいいんです。自分のできることには限界があるから。
川島:そうかあ。
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<番組概要>
番組名:SUBARU Wonderful Journey ~土曜日のエウレカ~
放送日時:毎週土曜 17:00~17:55放送
出演者:川島明(麒麟)
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/wonderfuljourney/