本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。
8月10日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと三井住友DSアセットマネジメント株式会社フェローの宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「夏真っ盛り“暑さの種類”と猛暑がもたらす“経済効果”」というテーマでお話を伺いました。
(左から)マンボウやしろ、宗正彰さん、浜崎美保
◆猛暑、酷暑、激暑…さらに上がある!?
浜崎:宗さま。今回は「夏真っ盛り“暑さの種類”と猛暑がもたらす“経済効果”」についてお話しいただけるということですが。
やしろ:毎日暑い日が続いています。最近では、暑さを表す言葉もいろいろあるようですね。
宗正:はい、増えていますね。まずはよく耳にする猛暑。それから酷い暑さと書いて酷暑。さらにその上の激しい暑さと書いて激暑。
やしろ:酷暑はたまに見たり聞いたりすることはありますけど、激暑まであるんですね!
宗正:そしてなんと、もう1つ上の暑さがあります。
やしろ:え!?
宗正:燃え盛る炎の暑さと書いて炎暑です。最近になって、ちらほらと(炎暑という言葉を)聞くようになりました。
やしろ:40度を超えたりするときのことでしょうか?
宗正:もっと上の暑さですね。猛暑が最高気温35度以上の日で、酷暑が40度以上です。そうなると計算上では、45度以上が激暑で、50度以上が炎暑にあたります。アスファルトジャングルの大都会では、50度以上ある地点も珍しくはないでしょう。
やしろ:猛暑日という言葉、最近では当たり前のように使われていますけど、これはいつ頃から使われ始めたのでしょうか?
宗正:猛暑日は気象庁が定めた正式な予報用語です。定められたのが2007年の4月です。
やしろ:もう15年も前ですか!
宗正:この頃から、人の体温に近くて気温の高い日が増えてきたんでしょうね。そして同じく、気象庁が定めた予報用語に“最低気温25度以上の夜=熱帯夜”があります。今では猛暑日も熱帯夜も珍しくも何ともなくなってしまいましたが。
やしろ:普通に夜が30度くらいのときもありますからね。
宗正:そして今年、日本気象協会は最高気温が40度以上の日を酷暑日、最低気温が30度以上の夜を超熱帯夜と決めました。
やしろ:超が付いちゃうんですね!
宗正:その目的は、熱中症の予防啓発や注意喚起なんですが、ただこうなってくると、日本って本当に温帯なのかなっていう……。
やしろ:そう思っちゃいますよね。雨の降り方もすごいですし。
◆しばらく続きそうなエアコンの品薄状態
やしろ:猛暑がもたらす経済効果で、具体的に分かりやすいものでいえば、どのようなものがあるのでしょうか。
宗正:経済効果にはプラスの経済効果とマイナスの経済効果の両方があります。プラスの経済効果で分かりやすいのは、暑さで売り上げが伸びるものです。
やしろ:飲み物やかき氷とか。
宗正:あとは、家電もありますね。エアコン、冷蔵庫、扇風機。ところが今年の夏は、エアコンの品薄状態がずっと続いています。
やしろ:(ウクライナ戦争による)半導体業界への影響ですか?
宗正:それもありますし、コロナ禍で部品が不足しています。例えば、この暑さでエアコンが故障しても、修理ができないということです。運良く新品のエアコンを買えたとしても、円安でかなり高くなっています。
やしろ:では、今年の夏は家電の売り上げは芳しくないっていうことですか?
宗正:そもそも売るものが不足しているので、需要に供給が追いついていないのが現状です。他に売り上げが伸びるものとしては、保冷剤や汗対策などの制汗剤があります。ドラッグストアやコンビニのレジ前に山積みになっていたりしますよね。暑くなると、飲食店では“辛いものメニュー”も増えますよね。
やしろ:汗をかきたくなりますよね。
宗正:保冷剤と制汗剤で、暑さと汗を抑えながら辛いものを食べる。何とも言えない、至福のひとときです。夏の売れ筋商品って、家電や旅行以外では、今話したような単価の安いものが実は多いんです。
やしろ:暑いと売れるものとして、ビールも昔からよく取り上げられていますが。
宗正:最近ではノンアルコールやローアルコール、そういった飲み物のシェアが拡大してきていますが、暑さを測る代表的な尺度として、ビールは今でも代表的な飲み物の1つです。少し前までは夏の平均気温が1度上がると、1日で約30万本も出荷量が伸びると言われていましたから。
◆猛暑がもたらすマイナスの経済効果とは?
やしろ:逆に猛暑がもたらすマイナスの経済効果には、どういったものがあるのでしょうか。
宗正:今も昔も、夏の気温と相関関係が高いのが「電気代」です。エアコンをフル稼働しますから。特に今年の夏の電気料金は、昨年の今の時期と比べて、およそ2割も高いんですよ。
やしろ:そんなに高くなっているんですか!?
宗正:はい。1.2倍の電気代です。ただし、電力は生活に欠かすことのできないもの。電気代は払わざるをえないので、そうなると、他の消費を減らすことになる。つまり他のものが売れなくなるっていうことです。
やしろ:電気代がかかるのはしょうがないから、と。
宗正:暑さのピーク時には、電力不足も懸念されていますよね。電力の使用制限で工場などの生産活動が抑えられる事態も考えられます。今後も油断はできません。つまり猛暑は、消費活動と生産活動の両方を抑えてしまう、ダブルパンチなんです。
そして今、電気料金と同じく上昇しているのが、食品価格ですよね。猛暑で影響を大きく受けてしまう食品は野菜です。これから秋にかけて、野菜価格の上昇は避けられないと思います。
やしろ:この夏の猛暑がもたらす経済効果ですが、トータルで見てプラスなのかマイナスなのか、どちらになりそうでしょうか?
宗正:ここまでの話を総括すると、残念ながらマイナスの方に偏ってしまうのかなと。一昔前までは、「夏は暑ければ暑いほど個人消費が伸びて、経済効果にプラス」っていう夏の決まり文句がありました。
やしろ:定説のようにあったんですね。
宗正:ただ、それはあくまでも“夏らしい適度な暑さ”が前提の話です。しかも、今は新型コロナの第7波も重なっていますからね。過去の経験則っていうのが、当てはまらなくなってしまいました。経済的には厳しい夏になりそうです。
やしろ:何か挽回策はないですか?
宗正:夏のマイナスを秋物の衣料品など、次の季節の売り上げで挽回した時代もありましたが、暑さが長引けば秋が短くなるのが近年の傾向です。やはり一番の挽回策は、新型コロナ政策の見直しなどで、人の行動抑制が緩和されることになるでしょうね。
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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月~木曜17:00~19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:
http://www.tfm.co.jp/sky/