モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。10月26日(水)の放送コーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「国民年金の保険料、納付期間の延長を検討 負担が増えるのは?」。学習院大学 非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。
(左から)吉田明世、塚越健司さん、ユージ
国民年金の保険料を納める期間は現行「20歳~60歳の40年間」ですが、政府は10月18日(火)、この期間を5年延長して「20歳~65歳までの45年間」とする案を議論する方針を決めました。
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ユージ:塚越さん、まずはこの案について詳しく教えてください。
塚越:加藤勝信厚生労働大臣は10月18日、この方針を述べました。厚生労働省の諮問(しもん)機関である「社会保障審議会」の年金部会で議論を始める予定です。2024年に結論を出して、2025年の通常国会で法改正を目指すとのことで、今すぐではないにせよ、かなり近い将来と言えます。
国民年金(基礎年金)は、自営業者を含む、すべての人が加入します。会社員や公務員は、これに加えて、報酬に応じて給付額が決まる厚生年金にも入る仕組みです。現状、2022年度の国民年金の保険料は月1万6,590円で、40年間納付すると、毎月約6万5,000円が支給されます。政府の狙いは、当然ながら財源の確保です。少子高齢化に伴って、年金受給者の高齢者が相対的に増える中、制度を維持するための方法です。ただし、国民年金を主な収入源とする高齢者にとっては負担が大きくなります。
吉田:保険料を納める期間が延長されたら、どのような方が影響を受け、どのぐらい負担が増えるのでしょうか?
塚越:会社員であれば65歳まで働く人が多く、厚生年金に入っていれば、国民年金保険料も同時に払うので負担は大きくは変わらないです。一方、自営業や60歳で引退した人は負担が増えます。
今のところ、1年間に払う国民年金の額は1万6,590円×12ヵ月で、約20万円。これが5年延長なので、これまでより、およそ100万円多く払うことになります。当然、今後の国の経済状況などによって、払う金額が増えたり、貰う金額の減少が予想されます。
ユージ:受け取る年金の金額も、変わってくるのですか?
塚越:まず、基本的に支払期間が増えても、受け取る金額は増えないです。むしろ、今後の受給額の減少を抑制するために、今のうちに手を打つというものです。その上で、国民年金受給額は現在、満額で月約6万5,000円、年間約78万円です。
今の制度で計算すると、「20歳~60歳」まで保険料を払ったとして、払った保険料より受け取る額=受給額のほうが多くなるのに10年強かかります。つまり、だいたい72~73歳を超えると、もらえる金額のほうが多くなります。
一方、今後「20歳~65歳」まで保険料を支払うと、受取金額のほうが多くなるのは11.5年かかります。65歳から年金を受取るとして、76歳と半年を過ぎると、ストレートに言って良ければ「得になる」ということです。
とはいえ、これはあくまでデータ上の話で、人によって異なりますし、今後の年金額の変化を考えれば、この通りではありません。さらに言えば、これまで説明してきて何ですが、本来、年金は「得かどうか」という視点よりも、国民全体をみんなでどう支えるか、という考えに基づいています。とはいえ、やっぱり気になります。
ユージ:76歳と半年というと、自分がそうなったときに大丈夫かな? という不安もありますよね。国民年金の保険料を納める期間を延長する案、塚越さんはどのように受け止めていますか?
塚越:ちょっと前に「老後2,000万円問題」が議論になり、話題となりました。最近ですと、厚生労働省が「公的年金シミュレーター」というサイトを試験運用中ですので、ぜひチェックしてみてください。
<今日のユジコメ>
60歳まで払う国民年金を5年延長する方針により、僕たちの払う金額は5年分増えることになります。
この国民年金は将来の僕たちのためではなく、今の先輩たちに払っているものです。自分たちが受け取る先輩になり、今の若い方たちが国民年金を払う年齢になった際、延長も何もなく、支払う金額も変わらない状態でいられるのかが不安です。
少子高齢化の影響で、国民年金を払っていく人たちの数が増えているわけではありません。この先、将来の若い方たちが、国民年金を払う歳になったとき、特別延長や増額などないように対策を考えてほしいなと思いました。
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/one/