ミュージシャン、デザイナー、作家、俳優、職人など、異なるフィールドを舞台に活躍する“ふたり”が語らうTOKYO FMの番組「三井ホーム presents キュレーターズ~マイスタイル×ユアスタイル~」。
今回のゲストは、Ryujiさん(ヘア&メイクアップアーティスト)×下村一喜さん(写真家)。ここでは、メイクと写真撮影における“双方向性”の重要性について語りました。
Ryujiさん、下村一喜さん
ヘア&メイクアップアーティストのRyujiさん。東京でフリーランスとして活動した後、2000年に渡米。ニューヨークを拠点に、「VOGUE」などのファッション誌や広告、CMを中心にアメリカ、ヨーロッパ各国で活躍。現在は拠点を東京に移し、ヘアメイクのみならず、コスメブランドの開発アドバイザーや、グローバルに展開するヘアサロン・グループのクリエイティブ・ディレクターも務めています。
一方、写真家の下村さんは、2001年にフランスに渡り、半年後に「madame FIGARO」誌と契約。さらに、日本人として初めてイギリスの伝説的カルチャー誌「THE FACE」の表紙を飾るなど、在仏7年の間、ヨーロッパで活躍。帰国後は、国内外の広告、雑誌、CDジャケットなどのスチール撮影からCM、MVなどの映像ディレクションも手がけています。
◆その人を、いかに素敵に見せるか
Ryujiさん初の著書「嫌いなパーツが武器になる 1万人の顔を変えたプロのメイク術」(徳間書店)。メイクに関するたくさんのアドバイスが載っているなかで、下村さんが特に興味を持ったのは……?
下村:「メイクには隙間を残す」とお書きになっていて、深く納得しました。
Ryuji:僕らのできることは、限られていると思っていて。(メイクをして)写真に残しても、残さなくても、もともとメイクはパーソナルなもの。僕たちは、メイクという作業に乗せて、その人をいかに素敵に見せるかを(頑張るわけで)。若い頃は、自分がやりたいことを「キャンバスのように表現しよう」と目指していたのですが……。
下村:よくわかります。
Ryuji:メイク(アップアーティスト)とは不思議な仕事で、出来上がった0.1秒後から崩れが始まっていくんです。だから、いかにキレイに崩れていくか(を考えてメイクします)。そこが面白いところで、僕らが(メイクを)詰めれば詰めるほど表情が消えてくと言うか、今で言うと“加工した顔”になってしまうというか。だから、その人の表情やムードを残しながらメイクをしていく。逆に言うと、上手すぎるメイクさんはダメという言い方は変ですけど、上手すぎないほうがいいんじゃないかな?
下村:Ryujiさんは親密だし、美しいし、モードもナチュラルもすべて表現されるじゃないですか? 隙をひとさじ残しておくことは、その人の魅力(を残す)ということですよね。
ちなみに私は、写真というアウトプットの表現をまだ持っていなかったときに、絵を描くように写真を撮っていました。モデルさんを自分の理想像のように固めて、予定調和で「1ミリも動かないで!」というような形で撮っていたんです。
でもある日、それが間違っているというよりは、面白くないことに気づいたんです。何千分の1秒という瞬間を切り撮れるのに(撮影イメージを固め過ぎると面白くない)。そこからは、相手からも、そして、もちろんスタッフからも(自由なアイデアを)いただく形になりました。
Ryuji:まったく同じですね。やっぱりインタラクティブ(対話・双方向性)でないと、僕らの仕事は成立しないんだよね。モーション(行動・動作)でも何でも、相手のものが入ってきて、混ざって初めて形になるというか。最初のうちは、思いも強いし、なかなか気がつくまでに時間もかかるし、委ねるのは怖いというか。でも自信も必要だし。
下村:経験もですね。
Ryujiさんの著書「嫌いなパーツが武器になる 1万人の顔を変えたプロのメイク術」は、徳間書店から発売中です。
▶▶番組Webサイトでは、この記事の放送内容をPodcastで配信中です。
次回6月3日(金)放送のゲストは、桐島かれんさん(モデル)×内田也哉子さん(文筆家)です。お楽しみに!
<番組概要>
番組名:三井ホーム presents キュレーターズ~マイスタイル×ユアスタイル~
放送日時:毎週金曜 17:00~17:25
ナビゲーター:田中麗奈
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/curators/