住吉美紀がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生ワイド番組「Blue Ocean」。“頑張るプロフェッショナルの女性の素顔に迫る”をテーマに、各界で活躍されている素敵な女性をゲストに迎えて話を伺うコーナー「Blue Ocean Professional supported by あきゅらいず」。9月6日(月)放送のゲストは、「ぴあフィルムフェスティバル」(通称「PFF」)総合ディレクター・荒木啓子さん。今回の放送では、9月11日(土)から25日(土)にかけて開催される「第43回ぴあフィルムフェスティバル」について語ってくれました。
(左から)荒木啓子さん、住吉美紀
自主映画のコンペティションを中心に、“新しい才能の発見と育成”“映画の新しい環境づくり”をテーマに開催されている映画祭「ぴあフィルムフェスティバル」。荒木さんは、1992年に同映画祭のディレクターとして就任して以降、日本の自主映画や8mmフィルム文化を国内外に向けて発信する活動を続けています。
昨年の「第42回ぴあフィルムフェスティバル2020」の様子。
PFF入選をきっかけに映画監督デビューを果たした 石井裕也監督の最新作『生きちゃった』をオープニング上映。上映後にキャストと監督が登壇してトークイベントをおこないました(写真左から荒木さん、若葉竜也さん、仲野太賀さん、大島優子さん、石井裕也監督)
◆自主映画の“可能性”を発掘する映画祭! 今年も開催
住吉:「第43回ぴあフィルムフェスティバル」は、東京・京橋にある「国立映画アーカイブ」で開催されます。「ぴあフィルムフェスティバル」は、どのような映画祭なのでしょうか?
荒木:世間では「チケットぴあ」で有名になった、「ぴあ」という会社があります。ぴあは、もともと映画研究会に所属していた学生たちが設立した会社なんです。
住吉:そうなんですか!
荒木:ある程度の年代の方にはおなじみかもしれませんが、かつては「ぴあ」という雑誌を出しておりました。その雑誌の創刊者たちの「お金が入ったら映画祭をやりたい」という思いから始まりました。
「ぴあフィルムフェスティバル」は、いわゆる“青春の思い”が詰まった映画祭です。そして、その気持ちをそのままキープしていきたいという思いがあります。
住吉:ということは、世にあまり知られていないものを選出されているのでしょうか?
荒木:そうですね。“個人の力で作られた自主映画を、普通の商業映画と同じように扱いたい”という映画祭です。
住吉:(初回開催が1977年ですが)、長年開催していると、「ぴあフィルムフェスティバル」から有名になった監督さんもいらっしゃいますか?
荒木:はい。180人ぐらいの方が、プロフェッショナルの映画監督になられています。
住吉:へええ! 荒木さんは映画祭の総合ディレクターをされています。どのようなお仕事ですか?
荒木:(映画祭がスタートしてから)十数年は、何人かのプログラマーやディレクターがいたのですが、私が総合ディレクターに就任してからは、運営やプログラムなどの映画祭にまつわるすべてのことが、私に集約される形になりました。
住吉:映画祭で紹介する作品は、ご自身が責任を持って選ばれるということですか?
荒木:そうですね。今、映画を作ろうとしている方や、既に作っていらっしゃる方にとって、刺激になる作品を選びます。「こういう映画を作ってもいいんだ!」と勇気をもらえるような作品を、「とにかく観せたい!」という思いがあります。
住吉:毎年、映画祭をされているということは、常に相当数の映画を観られたり探されたりしているんですよね?
荒木:はい。映画が好きとか嫌いとかの話ではなく、仕事なので(笑)。どんな映画を観ても、「どうすれば映画祭につなげられるか……」って考えているので、「映画好き」とか「映画ファン」とは、また少し違うかもしれないですね。
住吉:(毎年、映画祭で紹介する作品として)どのぐらいの数を観られるのですか?
荒木:近年は、自主映画の応募が年間500本ぐらいあるのですが、本数でしか言えないんですよ。2分の作品もあれば、2時間の作品もあるので。大体で言いますと、毎年自主映画の鑑賞に100時間ぐらいは費やしていますね。そこに商業映画や映画祭の作品を含めると、トータルの時間はわからないです。
住吉:毎日が「探しては観る」の繰り返しなんですね。
◆「ぴあ」に関わるようになったきっかけは?
住吉:そもそもは、なぜ映画の世界に? やはり最初は「映画が好き」という思いからですか?
荒木:いえ、もともとは音楽ファンでした。
住吉:そうなんですね!
荒木:映画の仕事は、特別な人がするものだと思っていました。
住吉:特別な人?
荒木:映画を作るって大変なことじゃないですか。「それをやり遂げる人は、特別な人」という思いがあって。最初は、「とてもじゃないけど、恐ろしくて近づけない世界」という印象を抱いていました。それが、いつの間にやら……(笑)。
住吉:ぴあとつながったことがきっかけですか?
荒木:そうですね。私はイギリスの音楽が好きなんですけど、ぴあでイギリスの映画祭をやることになって、そこのお手伝いをして縁がつながった形です。
住吉:なるほど。とは言っても総合ディレクターになるのは簡単なことではないと思います。周りの方々からの信頼を積み上げられたのでしょうね。
荒木:さあ、それはどうでしょう。周りの方に聞いてみないと(笑)。
住吉:(笑)。
◆応募者は「周りの目を気にせずに映画を作って」
「PFF2021」で上映する入選作品を決める「第2次審査会議」の模様。
16人のメンバーが丸2日にわたって討議を重ね、最終的にはPFFディレクターが決定します。2021年度は489作品のなかから、18作品が入選作品として選ばれました(写真中央奥が荒木さん)
住吉:2000年以降、女性監督の活躍が目立つとお聞きしました。
荒木:そうですね。自主映画の応募者や、映画学校に入学する女性が増えています。応募者に対する入選者の割合も、女性のほうが多いですね。今年の入選者の半数は女性です。明らかに変わってきていると思います。
住吉:なるほど。今の日本の映画界に対して投げかけたい思いはありますか?
荒木:映画は、本当に何をやってもいいものなので、「もっと自由にやってほしいな」と思いますね。今は、いつも誰かのジャッジを気にしている風潮がある気がします。
住吉:それって、日本の世の中全体にも言えることかもしれないですね。
荒木:そういうことは、本当に忘れたほうがいいです。映画は簡単に国境を越えていくし、映画の才能を見つけてくれる人が世界中にいます。周りの目を気にせずに、自分の好きなことを追求してほしいですね。
なぜか映画は、「まねをしちゃいけないもの」ってイメージを持たれているんですよね。音楽を作るときや漫画を描くときって、まずはまねから始まるでしょう?「映画も、まねをしていいよ」ってすごく思うんですよ。まねをしたって他の人との“違い”は絶対に出てくるので。「自分はこういうところにこだわりがあるんだ」っていうことを発見したら、そこを伸ばしていけばいいと思います。
住吉:やはり30年間やってらっしゃる方の言葉は力強いです。
荒木:30年って言われると「重いわ」って思われるかもしれないですね(笑)。
住吉:(笑)。みなさんもぜひ「第43回ぴあフィルムフェスティバル」の公式サイトをチェックしてください。配信でも楽しめるんですよね?
荒木:はい。コンペティションについては配信をおこないます。ハイブリッド開催ですね。ただ、招待作品や映画講座については配信がありませんし、映画祭の会場ではたくさんのゲストもいらっしゃいますので、ぜひ現場で観てもらえればなと思います。
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聴取期限 2021年9月14日(火)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:Blue Ocean
放送日時:毎週月~金曜9:00~11:00
パーソナリティ:住吉美紀
番組Webサイト:
http://www.tfm.co.jp/bo/
特設サイト:
https://www.tfm.co.jp/bo/aky/