青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。8月14日(日)の放送では、環境省 自然環境局 国立公園課 国立公園利用推進室長の岡野隆宏(おかの・たかひろ)さんに、「ワクワクがいっぱい! 魅力あふれる日本の国立公園」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、岡野隆宏さん、足立梨花
◆日本全国に34ヵ所ある国立公園
国立公園というと、漠然と“国が管理している場所”“行動に制約が多い場所”というイメージを抱きがちですが、日本は狭い国土に大勢の人が住み、昔から土地をきめ細かく利用してきたため、アメリカやオーストラリアなどの国とは異なり、国立公園の土地すべてを公園専用とすることは難しいそうです。
そのため、日本の国立公園においては、多くの民有地も含まれており、国立公園のなかには、人の手がほとんど加わっていないところもあれば、集落や観光地として開発されているところ、農林業などの産業に使われているところもあります。岡野さんは「日本の国立公園は、自然と人の暮らしがともにある、世界でも稀な国立公園と言える」と言います。
日本の国立公園は1934年3月に、瀬戸内海国立公園、雲仙天草国立公園、霧島錦江湾国立公園の3つが最初に指定されたのが始まりで、現在は全国に34ヵ所あります。
◆“レンジャー”の役割
国立公園の保護や管理をする自然保護官、いわゆる“レンジャー”の経験もある岡野さん。国立公園は“優れた自然の風景地を保護する”という役割があるため、自然の状況を把握するためにパトロールや調査をおこなったり、希少な野生生物の保護のために生息状況の調査や環境改善、逆に増えすぎた鳥獣や外来生物の管理、駆除などをおこなうのがレンジャーの仕事で、「国立公園をどのように将来に引き継いでいくか、地域のみなさんと相談して決めていきます」と話します。
また、レンジャーをしているなかで印象的だったことは、「国立公園は地域の皆さんに愛されている風景であり、地域の暮らしや産業とも密接だということ。地域を元気にするためには、地域のみなさんと一緒に考えることが大切だと気づかされました」と振り返ります。
国立公園の役割は、優れた自然環境の保護以外にもあります。「公園ですので、その素晴らしい自然を多くのみなさんに利用していただいてリフレッシュしていただいたり、感動や学びを得ていただくことも役割の1つです」と説明。そのため、看板や歩道の整備、自然観察会など環境教育活動もおこなっており、環境省では、こうした活動を通して優れた自然を守りながら地域活性化を図るべく、2016年から「国立公園満喫プロジェクト」を実施しています。
これは、日本の国立公園のブランド力を高め、国内外の方々が日本の自然を満喫できるような上質な観光を実現させるプロジェクトで、「地域のみなさんと協力して、国立公園ならではの魅力的な自然体験コンテンツを充実させることで、国立公園の利用者数だけでなく、滞在時間も延ばしていただいて地域経済の活性化につながるように進めていきたい。そして、そこで得た収益が自然環境の保全のために再投資される。こうした好循環を生み出すことを目指しています」と力を込めます。
◆国立公園で楽しめる“自然体験”
番組後半では、国立公園で楽しめる魅力的な自然体験コンテンツを岡野さんに紹介してもらうことに。
まず挙げたのは、阿寒摩周国立公園の「阿寒湖周辺の森の散策ツアー」。ここは北海道の東側に位置し、火山と森と湖が織りなす雄大な景観を有する国立公園です。この公園にある阿寒湖周辺の一般客立入禁止エリアの森を、認定ガイドと歩くトレッキングツアーとなっています。
実際にこのツアーを体験した岡野さんは、「1度伐採された森なんですけど、ガイドさんの解説を聞くことで蘇りつつある森を体験することできます。どうやって(森の木が)伐られて、どのように再生してきたのかを想像し、森の再生の時間を遡る体験ができる」と解説。また、森にはさまざまな生き物が生息していて、クマゲラやエゾシカ、ヒグマの痕跡を見つけていくと動物たちの気配も感じることができます。
このツアーを通して、「ここを“伐る森”から“見る森”に変えようとした先人の思いと、それを実現しようと取り組まれている人の意思を感じることができた」と振り返ります。
次に挙げたのは、十和田八幡平国立公園の「蔦沼(つたぬま)の紅葉」。ここは青森県、秋田県、岩手県の3県にまたがる国立公園で、蔦沼は国立公園内にある「蔦七沼」と呼ばれる7つほど点在する沼の1つです。また、紅葉シーズンには多くの人々が訪れる人気のスポットで、風のない日は蔦沼の湖面に紅葉した木々が映り込んだ美しい風景が見られます。
さらに、岡野さんによると「展望デッキの後ろから昇ってくる朝日が、夜明けとともに照らされて色がどんどん変わっていき、最後は真っ赤に燃え上がるような紅葉を楽しむことができる」と絶賛します。しかし、その景色を見ようと多くの人が押し寄せるようになり、その結果、展望デッキが混雑して行列ができてしまうなど満足度が低下。さらに、周辺の環境も破壊される恐れが発生していました。
そこで現在は、展望デッキを完全予約制にしたり、協力金制度を設けて利用者数を調整することで、「本当に静かな空間を楽しむことができますし、利用して支払ったお金が自然環境の保全に役立つので、とても多くの方々に満足いただいています。人数を調整して特別な体験をしていただくことが、新たな価値になっていくのではないか」と話します。
最後に岡野さんは、「国立公園は、長い年月をかけて地域の方々とレンジャーが協力して守り、形を作ってきた『人と自然がともに生きてきた証』を体験する最高の場所です。ぜひ国立公園に足を運んでもらい、自然や景色だけではなく、その土地に暮らす人々、文化、食まで含めて、深く知って体験いただきたい」と呼びかけました。
足立は「国立公園満喫プロジェクト」の内容を知り、「ワクワクしたのと同時に、国立公園は楽しめることがいろいろあるし、私たちが行くことで国立公園の保全に貢献できるということが学べて、すごく良かった」と興味を示します。
青木は“国立公園をどのように将来に引き継いでいくか”という視点に感銘を受けたようで、「日本人はもちろん、世界中の方にも日本の美しい自然に触れてほしいので、これから自分に何ができるかを考えていきたい」と語りました。
(左から)青木源太、足立梨花
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/