手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMの番組「防災FRONT LINE」。10月31日(土)の放送では、サイボウズ株式会社 災害支援プロジェクトチーム リーダーの柴田哲史さんに、避難所の混雑状況を瞬時に“見える化”する災害支援システムについて伺いました。
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この災害支援システムは、クラウドサービスを手掛けるサイボウズと、東京・調布市が連携して開発しました。
システムの目玉は「避難所アプリ」。避難所の受付で渡されるQRコードを家族やグループの代表者がスマートフォンで読み取り、何人で避難したかを入力します。すると、瞬時に避難所の混雑状況が反映され、市の公式サイトに公開されます。そうすることで、市民は避難所の混雑状況をすぐに知ることができます。
このシステムを開発した経緯について、柴田さんは「去年の台風19号のときに、避難勧告が出たのですが、避難所が混雑して入れないという状況だったという声をたくさん聞いたので、それをなんとか改善したいなと。事前に市の公式サイトで混雑度がわかれば、その避難所に行かないとか、別の手立てを考えるなど、分散避難のヒントになりますし、それでなんとかならないかなと思って作りました」と語ります。
また、避難所内で新型コロナウイルスの感染者が出た場合は、避難者のメールアドレスに濃厚接触者の可能性を通知する仕組みも加えているということです。
もともとは、去年の台風19号がきっかけで開発されたシステムですが、新型コロナウイルスの収束が見通せないなか、分散避難の際にも役に立つことが期待されています。
また、市の対策本部向けの情報共有システムも“見える化”されているのです。
例えば、各避難所のスタッフや多摩川の近くの消防団員が、専用のアプリを入れたスマートフォンで本部と会話をすると、自動で音声がテキスト化されます。また、現場から送った写真は、対策本部のシステムと連動して地図上に表示されるということです。
どこでなにが起きているかが瞬時にわかるという仕組みです。去年の台風の際は、避難所に市民が殺到していることを市が把握するのに時間がかかってしまった、という経験がありました。
その反省から“現場でなにが起きているのか”が、パソコン画面を開けばすぐにわかる、というシステムを構築したそうです。
迅速に情報を共有してもらうことによって、あなたのもとにも情報がすぐ届く。私たちの正しい避難行動やいま行動すべきことを決める上でとても大切なことです。
柴田さんは、このシステムを「調布モデル」として全国に普及させたい考えです。
「西日本で被害が出たときに、東日本にいる職員さんがすぐに助けられるとか、遠隔でサポートできるとかそういうネットワークづくりができたらいいなと思います。同じツールや同じシステムを使っていると、遠隔からもできるんですね。『ボランティアセンターはどうなっていますか?』『受付は何時ですか?』『駐車場はどこ?』などの質問は、遠隔で被災していない地域の職員でもできますので」
すでに調布市では導入され、試験的に運用されていますが、狛江市や全国の自治体も導入を検討しているということです。
<番組概要>
番組名:防災FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/bousai/