モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。8月10日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「携帯電話のローミング、実現の課題」。学習院大学 非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。
※写真はイメージです
総務省は8月3日(水)、KDDIの通信障害を受け、通信障害が起きたときに他の携帯電話会社の通信網を利用できる「ローミング」の実現に向けた検討会を立ち上げることを表明しました。
◆「ローミング」とは?
塚越:ローミングとは、1つの事業者のサービスがエリア外で使えなくなっても、提携している別の業者の回線を使うことで、通話・通信を可能にすることです。例えば、今回のようにKDDIが使えなくなっても、ドコモ回線などが使えるというものです。
海外旅行をするときに、提携している海外の携帯会社の回線を利用して、電話などを利用したことがある人もいると思います。8月4日(木)には、北陸・東北地方の豪雨の影響で、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社で通信障害が発生し、7月に起きたKDDIの大規模な通信障害もあり、総務省が緊急時のローミングに関する検討会を立ち上げました。
吉田:これまで実現できていなかった理由は?
塚越:技術的には既に可能な状態です。今の主流の4G、5Gの1つ前の「3G」回線のときは、KDDIの通信方式が他の2社と異なる方式だったため(実現は)難しかったです。しかし、現在では通信方法が統一されているので、ローミングをやろうと思えばできますが、実際にはいくつかの壁があります。
◆事業者間の“壁”とは?
ユージ:その「いくつかの壁」とは?
塚越:まずは業者間のルール作りです。ローミングするための設備を整え、投資などだけでなく、緊急時のローミングをどの範囲まで可能にするかを決める必要があります。例えば、KDDIであれば4,000万件近い契約があります。一気にドコモやソフトバンクにローミングすると回線がパンクし、最悪、主要3社のすべての回線が使えなくなる可能性があるので金銭面でのルール作りも必要です。
他にも、通信障害が生じているときにローミングするには、最低限の情報をローミング先の企業に提供する必要がありますが、障害の度合いによっては、そうした情報のやりとりができず、結局ローミングができない可能性もあります。
実際、7月のKDDIの大規模な障害時にローミング機能があったとしても、実際は使えなかったのではないか? という指摘もあります。ならば、「ひとまずは110番や119番の緊急通報だけでも可能にすべきではないか?」と先月、議論になりました。
実際、現在のスマホにはSIMカードを入れなくても、つまり電話番号がなくても緊急通報できる機能はありますが、日本の法律の問題で使えません。簡単に言えば、「通報した人に警察などからコールバック(折り返し)できなければならない」という決まりがあり、電話番号がないとそれができないため、現在の日本では使用できません。
◆「ローミング」の実現は可能か?
塚越:ざっと説明しただけでも、かなり課題があることが分かります。法律や企業間の細かい調整が必要になるので、簡単にはできませんが、緊急通報あたりだけでも、今後の検討会でなんとかしてほしいところです。
加えて、通信システムはどんどん複雑になっているだけでなく、旧来のシステムも維持されるなど、さまざまなことが混在しているので、今後も大規模障害は生じると思います。
さらに、昨今は猛暑で冷房が故障し、それが原因で設備故障となり、通信障害につながることもあります。特にデータサーバーなどになりますが、情報社会は設備の点検・保守、そして「暑さ対策」も重要になってくると思います。
ユージ:“暑さ対策は人だけではない”ということですね。
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<番組情報>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/one/