放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」。1月9日(日)の放送では、女優のサヘル・ローズさんをゲストに迎え、お届けしました。
(左から)小山薫堂、サヘル・ローズさん、宇賀なつみ
サヘルさんは1985年生まれ、イラン出身。幼少時代に戦争孤児となり、4歳からイランの孤児院で生活し、7歳のときにフローラ・ジャスミンさんの養女として引き取られます。8歳のときに、フローラさんとともに来日。
現在は、タレント活動のほか、映画やテレビ、舞台などで女優としても活躍。そして、国際人権団体NGOの「すべての子どもに家庭を」の活動で親善大使をつとめています。公私にわたる福祉活動が評価され、アメリカで人権活動家賞を受賞しています。
そんな自身の福祉活動について、「自分の生い立ちもあって、大人になって“自分になにができるんだろう?”と考えたときに、未来を担うのは子どもたちや若い世代じゃないですか。そういう子たちに自分の経験や同じ思いをしてほしくないという気持ちから、個人的に母とふたりでさせていただいているサポートですね」とサヘルさん。
孤児院での生活では、NHK連続テレビ小説「おしん」を観て育ったそうで、「当時の私たち孤児にとって、おしんは小林綾子さんのあの年齢で止まっているんですね。あの小さなおしんは“後にどうなったんだろう?”とずっと思っていて。日本に行くとわかった瞬間、私は『おしん』の世界に飛び込めるんだって、すごいうれしさがあった」と振り返ります。
とはいえ、来日したときには日本語はまったく……話せるのは母国のペルシャ語のみ。「慣れない国に対する文化の違い、表現の違いにすごく戸惑いました」とサヘルさん。以降、日本語を一生懸命に学び、現在も日本で生活しています。
定時制高校に通っていたサヘルさんには、“大学にどうしても行きたい”という夢があったそう。しかし、母子家庭で自分が働かなければ学費が稼げない環境だったため、その費用を貯めるためにエキストラの仕事を開始。
ところが、当時の日本における外国人のイメージは、「白人で、ブロンドヘアでブルーアイズという、ちょっと決まった特徴があったんです。私はなにをしても(仕事に)受からなくて。でも生活がかかっているからお金がほしい。それで『死体でもいい?』と言われて、6年間死体役をやり続けたんです。だから死に方はすごく上手なんですけど(笑)」と、当時の苦労を語ります。
そんななか、「自分の国、イランの人が使われるシーンって、テロリストの役がとても多かったんですよ。それがすごく悔しくて。どうして表現の世界で、国籍で毎回見られてしまうのかと。私たちは地球人のはずなのに、すごく表現が狭い世界だなと思って。
イラン人というのは、テロリストの役だけじゃなくて、どんな役でもやれるんだよと。未来の子どもたちにちゃんと道を作ってあげたかったので、あるときから本気になってしまって、表現の世界を追求するようになったんです」と本音を吐露。
サヘル・ローズさん
あらためて、「人生にマイナスはないんだなって。どんな経験もポジティブに変えられるし、表現の世界でも自分の幼少期のあらゆる出来事、いろいろ抱えてしまった傷だと思っていたもの、人の痛みって対話に変わると思うんですよね。
自分の痛みを表現のフィルターを通して伝えることで、誰かの生きがいになれたらいいなって。それが本当にエンターテインメントの力だと思ったんです。チャップリンもそうじゃないですか。一番の喜劇って一番の悲劇だと思うので、そういう人物になれたらいいなと思っていました」と思いを語りました。
また、壮絶な人生を歩んできたサヘルさんから、新成人に向けたメッセージも。「私が20歳のときは、“生きるってなんだろう?”とすごく模索していました。社会人になるワクワク感と、社会人というリュックを背負った瞬間に、“責任”というものがすごくのしかかってきて、生き方がわからなくなっていました。
だからこそ、いろいろ挑戦してみてほしいなと。失敗を恐れる社会ではあると思うんですけど、私は自分のなかに『サヘル辞書』というのを作っていて。そのなかで、“失敗は大成功”だと思っているんですよね。たとえ大きな壁があったとしても、行きたかった景色や見えなかった景色がそこにはあるかもしれない。道中で出会った人たちは、自分にとっては財産ですし。
大人になると、“やっておけばよかった”が増えるんですよ。やって失敗したとしても、行動した自分に対して“誇り”が持てるじゃないですか。だからこそ、どんどんアクションを起こして、“挑む”という心を楽しんでほしい。20歳は可能性に溢れているので、自分の可能性を信じてください」とエールを送ります。
そして、この日は番組恒例の手紙にまつわるトークも。これまでに受け取った手紙、書いた手紙で心に残っているものについて尋ねると、サヘルさんは「全部ですね」と即答。「振り返ると、すべての手紙が私の財産。そのなかでもし選ぶとなれば、今関わっている施設の子どもたちからのお手紙がとてもうれしい」と目を細めます。
なぜなら「私も孤児院にいたとき、誰にも手紙って送れないんですよ。受け取ってもらえないから。送り先がいないんです……。でも、誰かの心の灯火になれるって最高の幸せじゃないですか。(送る先の)住所が書けるっていうことをもう1回噛み締めてほしいなといつも思います」と語りました。
◆#手紙にしよう 新たなポストカードが登場!
さまざまなポストカードを無料でダウンロードできる
「#手紙にしよう」に新たなポストカードが届きました。「自分がやってみたいことを宣言する」「相手へチャレンジしてほしいことを伝える」と、2種類のデザインのポストカードです。
2種類のデザインのポストカード
家族や友達と一緒に、やってみてほしいことを送りあってみるのはいかがでしょうか? 通年使えるデザインとなっているので、目標ができたときにもピッタリなポストカードです。ぜひ、ダウンロードしてみてください。
<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/post/