放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」。12月20日(日)放送では、お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんをゲストに迎え、お届けしました。
西野亮廣さん
2016年に発売した西野さんの絵本「えんとつ町のプペル」(※にしのあきひろ名義)の累計発行部数は、今や55万部を突破するほどの大ヒット。とはいえ、「スマートに55万部を超えたわけではなくて、ドブ板営業と草の根運動でなんとか……命からがら55万部という感じですよ」と笑います。
西野さんは、そんな本作をネット上に全ページ無料公開するという異例の行動に打って出ました。きっかけは、絵本を読む年頃の子どもがいる同世代の女性から「昔みたいに自由に使える時間とお金がない。だから、ハズレかもしれない絵本は絶対に買えない」という話を聞いたから。
そうすると、「本屋に行っても、自分が子どもの頃に読んでもらって楽しかった絵本を買うというループに入っているから、絵本って“ネタバレしているところからがスタートだな”と思って。それが1つ目の理由ですね」と打ち明けます。
さらにもう1つ理由があり、「絵本を要素で分けたときに、情報としての役割があると思ったんです。絵やストーリー、部屋に飾ってインテリアとしての役割があったり、読み聞かせる親子のコミュニケーションツールとしての役割もあったり。となると、無料公開をしても情報としては無料になりますが、インテリアとか読み聞かせとか、コミュニケーションツールとしてのものは無料になっていない。だから絵本に関しては、無料公開をしても売り上げが下がるものではない」との思いから無料公開に踏み切ったと言います。
西野さんによると、「えんとつ町のプペル」で描かれているストーリーは“実体験”だそうで「25歳くらいのときにテレビから軸足を抜いて絵本を描き始めたんですけど、『なんで芸人が絵本描いてんねん』とかいろいろと言われるんですよ。ひな壇に出ないと決めたら、『なんで芸人がひな壇に出えへんねん』って。それこそ、2013年にクラウドファンディングで予算を集めてニューヨークで個展をやったんですけど、当時、日本の方はクラウドファンディングをあまり知らなくて、『詐欺だ』みたいな感じでとにかく批判されたんですね(苦笑)」と振り返ります。
そうした自身の行動から、なにかに挑戦をするたびに批判が副作用のようについて回ることを実感した西野さんは「これは僕だけじゃなくて、挑戦する人すべてが経験していることなんだろうなと思って、じゃあ“これを物語にしよう”と。夢を語れば笑われ、行動すれば叩かれる現代社会を別のものに置き換えようと思ったときに、煙で覆われた町にしてしまって、みんなが見上げる理由がない町というのが、えんとつ町になりました」と着想に触れます。
作品に投影した思いを話す西野亮廣さん
そんな思いが込められた「えんとつ町のプペル」は、絵本だけにとどまらず、2020年1月に「『えんとつ町のプペル』THE STAGE」として舞台化。さらには、「映画 えんとつ町のプペル」(12月25日(金)公開)としてアニメ映画化されるなど、大きな展開を見せています。
西野さんによると、そもそも「えんとつ町のプペル」は、先に映画の脚本があったと言います。ただ、これをいきなり映画化したとしても「誰も知らない作品なので、これを観るために映画館に足は運ばないだろうなと。全7章くらいあるんですけど、3章と4章だけを間引いて世に出したのが絵本なんです。だから、実は絵本では主人公が出てきていないんですよ。映画でやっと出てくる(笑)。認知度がないからそうするしかなかった」と明かします。
映画の製作にはおよそ5年もかかったそうで、いよいよ公開を迎えることに「やっぱり怖いは怖いんですよ。自分は好感度低い芸人み
たいな感じなので(苦笑)。だから挑戦して失敗しても大したことはなかったんですけど、今回はたくさんのスタッフさんとたくさんの方に応援されて、すごく期待を背負っています。コロナ禍でみんな本当に大変な思いをされていて、応援してくれている人たちの『最後にいいものを観せて!』という思いを失望に変えるわけにはいかない」と思いを語ります。
そして、最後に“手紙”にまつわるトークも。普段からよく手紙を書くという西野さんは「非常にズルいんですけど、どう考えても当たり前な話、20年前よりもいまのほうが手紙のパンチ力があるじゃないですか。手紙ってどれだけ時間をかけたかが可視化されるわけですから、勝負どころでは大体手紙を書くんですよ」と話します。
それこそ、「映画 えんとつ町のプペル」でブルーノの声を演じている落語家・立川志の輔さんとのきっかけも手紙だったそうで、西野さんは「7、8年前ですけど、立川志の輔師匠の落語を観に行かせていただいて、感動してしまって。そのことを伝えたくて、お手紙を書いて送ったら師匠から連絡があって、そのご縁から映画にも師匠が声優で出てくださって」と振り返ります。あらためて「手紙の刺さり方ってすごいなと思いましたね。やっぱりLINEではそうなっていなかったでしょうから。手紙のパンチ力はすごくいいツールだなと思います。1番価値が高いのって“時間”じゃないですか。かけた時間がそのまま表れるのがいいですよね。だから、勝負どころは絶対に手紙がいいと思います!」と話していました。
(左から)宇賀なつみ、西野亮廣さん、小山薫堂
次回12月27日(日)の放送も、どうぞお楽しみに!
----------------------------------------------------
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2020年12月28日(月) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒
詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
----------------------------------------------------
<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/post/