青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。7月31日(日)の放送では、農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 企画グループ長の吉松亨(よしまつ・とおる)さんに、「日本の食品価格事情」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、吉松亨さん、足立梨花
◆値上げラッシュの要因は?
食品をはじめ、日用品や光熱費など、さまざまなモノの値上げラッシュが起こっている2022年。その原因は、原材料価格の高騰、ロシアによるウクライナ侵攻の影響などによる原油高、急速な円安など、さまざまな要因が絡み合っていると言われています。
日本は、大豆や小麦などの穀物をはじめ、多くの食品の原材料を輸入に頼っているなか、「新型コロナウイルスの影響で、物流関係者の人手不足などにより、海上輸送の遅延や輸送費が高騰していることも価格に影響を与えている」と吉松さん。
消費者にとって、食品の価格は安いほうが好まれるため、生産者や食品メーカー、流通業者、小売店、飲食店など、食品流通に関わる方々はそれぞれ努力を積み重ねて価格を安く抑えようとします。ただ、この努力が適正なものであれば問題ありませんが、「価格を抑えたいがあまり、原材料価格や燃料価格、人件費が値上がりしているのに、それを価格に転嫁しないと、どこかにしわ寄せが生じてしまう。最悪の場合、供給できなくなる恐れもある」と警鐘を鳴らします。
例えば、食品を製造する企業が適切な価格転嫁をしなかった場合、利益が下がります。そして、従業員の給料を十分に支払えずに人手も確保できなくなってしまい、商品の安定供給が下がってしまいます。その結果、企業も利益が上がらず事業経営が困難になり、場合によっては倒産してしまう可能性もあります。
食品の原材料や燃料、人件費などの値段が上がっているにもかかわらず、「それを適切に価格転嫁しないと、悪循環が生まれてしまう」と指摘します。
◆コーヒー豆を例に、価格の背景を考察
コーヒーの原材料であるコーヒー豆の価格も昨年から上がっています。その要因は、コーヒー豆の世界最大の生産国であるブラジルの天候不順や世界的な物流の混乱などがあったこと、新型コロナウイルスの影響で止まっていた経済活動が再開し、コーヒー消費量が増加したことが挙げられます。
また、限られた農園でしか栽培されていない希少性のある豆なら高いのは当たり前ですが、同じ品種の豆だったとしても、おいしさを追求して選別の段階で悪い豆が混入しないように手作業で取り除いたり、雑味につながるコーヒー豆の薄皮を丁寧に取り除いたりしている豆は、おのずと値段が高くなります。
さらに、近年ではSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを積極的におこなう企業も増え、人権や環境に配慮したコーヒー栽培がなされて、それが価格に反映している場合もあります。コーヒー豆の生産者の多くは熱帯地域の小規模農家で、コーヒーの生産コストの大きな割合を占めるのは人件費ですが、現在2~5割の農家が生産コストを賄うことができていないと言われています。つまり、人件費や所得が安く抑えられているのが現状です。
こうした状況を引き起こしてしまっている要因の1つに、“消費者がより安いコーヒー豆を求めるようになったから”とも言えます。企業努力によって安くなっている場合もあるものの、「生産、加工、流通、小売・外食という長いフードサプライチェーンのなかで、どこかにしわ寄せがいって安くなっているケースもある、ということも知っていただきたい」と声を大にします。こうした状況があるため、政府は適切な価格転嫁のための環境整備を進めています。
改めて吉松さんは、消費者に向けて「食品などを買うときには、価格だけではなく、それが手元に届くまでの過程も想像していただきたい」と言います。例えば、コーヒー豆の場合、有機栽培されたことを示すマークや公平・公正な取引を示すマーク、生物多様性の保全に取り組んでいることを示すマークなど、さまざまな認証マークがついているものがあるので、そうした認証マークがついていたら、どういうマークなのかなど調べてみましょう。
そして最後に、「今回のお話をきっかけに、これから食品を購入するときには、その価格の背景にも目を向けてみてください。そして、納得のいく食品を選んで、豊かな食卓を楽しんでいただきたいです」と呼びかけました。
今回の話に、足立は「私たちは“安ければいい”と思うところが多少あったけど、そうではないことがわかりました。その商品や食品が手元に届くまでの過程を想像して“こういう価格になっているんだ”と考えることも大事だと感じました」と気づきが多かった様子。
青木は、生産、加工、流通、小売・外食とフードサプライチェーンの長さに着目。「どこにもしわ寄せがいかない適切な価格、そうしたことにも想像を働かせていきたい」と話しました。
(左から)足立梨花、青木源太
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/