コラムニストの犬山紙子(月曜&火曜担当)と、アプリクリエイターの関口舞(水曜&木曜担当)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生放送番組「ホメラニアン」。10月21日(月)の「ホメラニアン ホッとフォーラム」のコーナーでは、「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」がテーマのソーシャル&エコ・マガジン「ソトコト」の編集長・指出一正さんをゲストにお迎えしました。
指出一正さんと犬山紙子
◆「ローカル」に注目
犬山:本日の議題は「これからの居場所の探し方」。私たちは今、仕事も住む場所も人間関係も“個人の好き”が尊重される自由な時代を生きていますが、自由だからこその不安を感じている人もいると思います。都会に住んでいると地域とのつながりも薄く“自分の居場所はここでいいのだろうか”と悩んでいる方も多いと思うのですが、そんななか、若者たちに注目され始めているのが“ローカル”だそうで。
指出:ローカル熱いですね。本当に熱くなりました。1つのキーワードは“かかわりしろ”という言葉です。
犬山:“かかわりしろ”……。“伸びしろ”みたいなこと?
指出:そうです。“伸びしろ”とか“のりしろ”みたいなものですね。東京や大きな街だと、どうしてもサービスを受ける側になってしまいがちですが、中山間地域をはじめとして、地方の町などは、人口が減っているなか“誰かが何かをやってくれるとうれしいな”っていう“かかわりしろ”が満点なんですね。例えば、古民家をリノベーションして使ってくれないかなとか、場所によっては“誰か神主になってくれないかな”とか。
犬山:神主!
指出:そうなんです。そういうファンタジーみたいな、地域と自分を結ぶ接点が多面多様にあることが、今のローカルの魅力なんですよね。その“かかわりしろ”を求めて、東京や大きな街の若い人が“この場所を見つけた”みたいな感じで、その場所の豊かさとか、カッコ良さを感じて、地域との接点を持っている感じはしますね。
犬山:なるほど。受け手ではなくて、何かを発信したり作ったりする文化や、ローカルの面白さを外にアピールしていく担い手になれる。
指出:形容詞みたいなもので言うと“つるつる、ピカピカ”ではなく“ざらっと”した場所。“ここを使って何かやってみたいな”って思わせる、背中を押したりモチベーションになるようなことが“かかわりしろ”で“ざらっと”しているわけです。引っかかるっていうことですね。
◆東京・尾山台の「おやまちプロジェクト」
犬山:都会でも、このような新しいコミュニティっていうのは生まれたりするんですか?
指出:ありますね。僕が今注目しているのは、東京の尾山台っていう東急大井町線の駅。去年の秋から“おやまちプロジェクト”っていうプロジェクトが立ち上がったんですね。ハッピーロードっていう商店街の洋品店の店主と、小学校の校長先生をはじめとした子ども達。
犬山:子ども達!
指出:さらに、東京都市大があるので、大学の先生や、学生たちがまちづくりに関わっているんですね。面白いのは、例えば、歩行者天国の時間だけ、都市大の学生たちがイスを並べてゼミを始めるんです、授業を。
犬山:えっ、歩行者天国でゼミ。
指出:そうすると、後ろから覗き込むわけですよ。“一体、何をやっているんだろう”みたいな。これが接点です。居場所の始まりですよね。
犬山:そうか。閉じられた空間でゼミをやっていると覗けないものを、歩行者天国でやることによって、人々の可能性をちょっとずつ開けていく。
指出:そうです。さらに面白いことに、駅のすぐ近くのコインパーキングを借りて、キャンプ場にしたり。
犬山:コインパーキングをキャンプ場に!
指出:おやまちプロジェクトの皆さんが泊まっていると、終電で帰ってきた東京の中心で働いていた若い女性の方とかが、ぎょっとするわけですよ。
犬山:そりゃぎょっとしますね。
指出:“一体、何をやっているんですか”って声をかける。そうすると“いやぁ、実は僕たちは尾山台って街が大好きで、ただ尾山台を乗降の為だけの駅として見ている流れを、もっともっとみんなの接点や接触率を高めたいと思ってこういうプロジェクトをやっているんです”……っていう話をすると“いやぁ、実は住んでいるんですけど、友達がいなかったりするんです。だから仲間に入れてもらえたら”みたいな。そうやって一歩一歩コミュニティに新しい人が入って、その結果、尾山台では、子ども食堂のプロジェクトに、その女の子たちも入って始まったりするんですよね。
◆“街のこと”を“自分ごと”に
犬山:素晴らしいですね。本当に色んなさまざまな問題、孤立を防ぐって一番の課題じゃないですか。素晴らしい取り組みですね。
指出:一番大事なのは、自分たちの街が面白くなっていけばいいなっていう、真ん中の考え方ですよね。“社会の課題を解決する”とかじゃなくて。せっかく自分の街が大好きなんだから“もっと面白くなったら”っていうのが、おやまちプロジェクトの原点なので、そこに学生が入ってきたり、小学生が入ってきたり、地元のお父さんやお母さんも入ってきたりして、あらゆる世代が交じり合うような形が生まれたのが、東京の本当に真ん中というか。
犬山:すごいですね。
指出:僕は中山間地域や地方都市のプロジェクトをずっと拝見していますけど、東京もいよいよ自分の街のことを“自分ごと”にしているんだな、というのは感じました。
犬山:東京もざらついていますね。
指出:ざらっとした場所、増えていますよ。
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<番組概要>
番組名:ホメラニアン
放送日時:毎週月~木曜 20:00~21:30
パーソナリティ:犬山紙子(月、火曜)、関口舞(水、木曜)
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/homeranian