阿川佐和子さん、住吉美紀
住吉美紀がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生ワイド番組「Blue Ocean」。“プロフェッショナルの素顔に迫る”をテーマに、各界で活躍されている素敵な方をゲストに迎えて話を伺うコーナー「Blue Ocean Professional supported by あきゅらいず」。
7月11日(月)のゲストは、作家、エッセイストの阿川佐和子さん。今回の放送では、最新著書「ブータン、世界でいちばん幸せな女の子」(文藝春秋)について語ってくれました。
阿川佐和子さん
1953年生まれ、東京都出身の阿川さん。報道番組のキャスターをつとめた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍します。これまでに「ああ言えばこう食う」(集英社)、「ウメ子」(小学館)、「聞く力 心をひらく35のヒント」(文藝春秋)などの書籍を出版。また、政治を題材にした討論バラエティ番組「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)では進行役もつとめています。
阿川佐和子さん
◆ビートたけし&大竹まことのリアクションで…
住吉:このコーナーではゲストの方に「人生の転機」を伺っています。阿川さんには、転機がいっぱいありそうな感じがします。
阿川:どれを転機と呼ぶのかよくわからないんだけど、思い浮かんだのは「ビートたけしのTVタックル」の進行役を受けたとき。(依頼があったのは)1997年ぐらいだったかな? それ以前、私は報道番組系でずっとやっていたから、どうも自分は堅い女だと思われていたんです。
でも、ビートたけしさんと大竹まことさんが出るバラエティ番組は初めてだったので、オドオドしながらやっていたんですね。あるとき、渋谷のガングロ(メイク)の女の子たちと、地方の第一次産業に従事するおじさんたちを集めて「パンチDEデート」(フジテレビ系)みたいなコーナー(恋愛バラエティ)を始めたの。
住吉:へええ(笑)!
阿川:女性のリーダーが私で、男性のリーダーが大竹さんで、裁判長のようなポジションがたけしさんでした。私たちが促して、カップルができればいいなって気持ちでした。互いに質問をし合うんですけども、なかなか出なかったので大竹さんが女性たちに問いかけたんです。「お付き合いが始まったとして、週に何回ぐらいお求めですか?」って。ガングロの子たちは、見た目は弾けているけど恥ずかしがって返事をしなかったの。私はリーダーとして「何とかしなきゃいけない!」って思ったから、「そりゃあまぁ、週に3回ぐらいは必要なんじゃないですか?」って。
住吉:(笑)!
阿川:まったく素直な気持ちで、「“ラブ”で知り合ったんだったら、それぐらい求めたくなるだろう」と思ったの。そうしたら、たけしさんと大竹さんが「阿川がこんなやつだとは思わなかった!」ってイスから転げ落ちたの(笑)。きっと、もっと真面目な人間だと思われていたのね。そのことがきっかけで私は解放されて楽になったの。
住吉:笑ってもらえたことで?
阿川:私自身は変わらなかったんだけど、報道番組に出ていることもあって「知的に見えなければいけない」「外れたことを言ってはいけない」みたいな規制を頭のなかで勝手に作っていたせいもある。イメージ的にもそう思われているしね。「阿川さんってそんなに大笑いするんですね」って言われたときは「笑うだろう、普通」って思った(笑)。住吉さんもそういうことってない? 元NHKアナウンサーだから。
住吉:めちゃくちゃありました。番組に出て音楽に合わせて体を揺らしていたら、驚かれました(笑)。
阿川:自分は変わっていないんだけど、やっぱりそういうイメージって持たれているよね。私は番組の出来事がきっかけで、“報道の女”っていう鎧(よろい)を脱ぐことができたというか。賢そうに見られることが苦しかったっていうのはありますね。
住吉:なるほど。解放されてからは仕事も随分やりやすくなりました?
阿川:そうですね。書く文章についても、崩れてきたりしましたね。
執筆中の阿川さん
◆“女友達”をテーマにした短編集を出版
住吉:阿川さんの最新作「ブータン、世界でいちばん幸せな女の子」(文藝春秋)のお話を伺いたいです。6月29日(水)に出された小説です。面白かったです! 最初、ブータンは国のことかと思っていました。
阿川:そうなの。(小説を読んだ)みんなから「ブータン王国の人が、いつ出てくるのかと思ったらちっとも出てこない」って(笑)。
住吉:「ブータン」というニックネームを持った女の子のお話なんですよね。その子が登場する「ブータンの歌」を含む、6つの短編が収められています。「ブータンの歌」は、40代の主人公が、中学生時代の同級生・丹野と久々に再会する物語です。読んでいて面白かったのが、短編だから主人公がそれぞれ異なるところでした。
阿川:語り部が違って、物語は一篇ずつで終わるんですけど、何気なくそれぞれが連携している。連作ですね。
住吉:読んでいて、そこが「人生ってそうよね」って思えて面白かったです。全然関係ない人だと思っていた人と、思わぬ縁があるというか。
阿川:たしかに。
住吉:いろんな女性が出てくるんですけども、それぞれに共感するポイントがいっぱいありました。
阿川:最初は本になるとは思っていなかったんです。「ブータンの歌」は、「女友達をテーマに短編小説を書いてください」という依頼を受けたんですよ。
中学生時代に親しかった女性2人が別々の人生を過ごして、40半ばぐらいでばったりと再会するっていう物語。私の場合、女友達ってその時々によって、自分の心に一番引っかかっているところとか、悩みとかを“共感し合える”人が親友になりやすい。
住吉:わかる!
阿川:学生時代から親しかったけれど、片方が結婚して専業主婦になって、片方が仕事を始めちゃうと、どうしても離れていく。話は合わなくなるし悩みを打ち明けにくくなるし、物理的に会いにくくなる。そういう、繋がったり離れたりする女友達の“移ろいやすさ”を物語のなかに出したいなって思いはありましたね。
住吉:物語は、ご自身の実経験を基に着想を得られたとか?
阿川:着想ってほどでもないけど、「“女”っていうのは、わりとこういうところがあるな」っていうのを物語のなかに組み込めたらいいなと思いました。
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<番組概要>
番組名:Blue Ocean
放送日時:毎週月~金曜9:00~11:00
パーソナリティ:住吉美紀
番組Webサイト:
http://www.tfm.co.jp/bo/
特設サイト:
https://www.tfm.co.jp/bo/aky/