青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。7月3日(日)の放送では、財務省 主税局 総務課 企画官の和田良隆(わだ・よしたか)さんに、「今こそ考えよう! 暮らしを支える税の世界」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、和田良隆さん、足立梨花
◆「税」の世界を深掘り
税の種類は40以上ありますが、“何に対して税の負担を求めるか”で大きく3つに分けられます。それが、所得に対する税、消費に対する税、資産などに対する税です。
所得に対する税とは、主に所得税、法人税、住民税。消費に対する税は、主に消費税、酒税、たばこ税。そして、資産などに対する税は、主に相続税、贈与税、登録免許税です。また、納められた税金は、水道や道路などの社会資本整備、年金や医療などの社会保障・福祉、教育や警察、消防、防衛など、私たちの暮らしに関わるさまざまな公的サービスの提供に使われています。
◆約3分の1を“借金”する見込み!?
2022年度の一般会計予算における歳出107.6兆円のうち、税収は65.2兆円を見込んでいます。本来、その年の歳出は、その年の税収やその他収入で賄うべきですが、2022年度予算では、税収やその他の収入では、歳出全体の約3分の2しか賄えておらず、残りの約3分の1は公債金、すなわち“借金”に依存している状況です。
借金というのは、国債を発行して投資家や銀行からお金を借り入れているということ。借金は後で利子をつけて返さなければならないため、今、必要な費用の負担を子や孫の世代へ先送りにしている状況とも言えます。
そもそも、なぜこういう状況に陥っているのかというと、近年、日本の歳出が一貫して伸び続けている一方で、その伸びに見合うほどの税収が確保できていないからです。
国の歳出のうち、最大の支出項目となっているのは社会保障関係費。つまり年金、医療、介護、子ども・子育ての分野です。そして、日本は他国に類を見ない速度で高齢化が進んでおり、「社会保障関係費が増え続けている」と和田さん。社会保障制度の基本は保険料による支え合いですが、保険料のみでは現役世代に負担が集中してしまうため、税金や借金も充てて維持しているのが現状です。
また、新型コロナウイルス感染症への対応では、医療提供体制の確保として、例えば、新型コロナウイルスワクチンの接種体制の整備などにも税金が使われています。もちろん、必要な対応ではありますが、「これらによって足元では、歳出が大幅に拡大している」と和田さん。こうした現状を踏まえ、限られた税収のなかでどのように配分するか、慎重な議論が必要です。
◆「賃上げ」「住宅ローン」の税制が改正
2019年10月に消費税が8%から10%に引き上げられた背景として、高齢化に伴って増加する社会保障費を賄うために安定的な財源確保が必要となっていることが挙げられます。また、消費税率引き上げによる増収分は、高齢者中心となっていた社会保障制度を拡充し、子育て世代や現役世代などにも活用できるようにして社会保障の支え手を増やすように努めています。
このように、経済社会の構造変化に対応した税制の見直しについて、毎年、国会で話し合いがおこなわれています。なお、今年度も税制が見直されており、そのキーワードは「賃上げ」と「住宅ローン」です。
現在、伸び悩んでいる日本の経済を持続的に成長させるためには、成長を促し、その成果をしっかり分配して次の成長につなげる好循環の実現が必要。そのために重要となるのが「企業による賃上げ」です。OECD(経済協力開発機構)のデータによると、2020年の日本の平均賃金は約424万円で、この額は30年前からほとんど上がっていません。しかし、欧米などは徐々に上がっていて、例えばアメリカは約763万円で、30年前より1.5倍に増えています。
この状況を抜本的に変えるべく、税制においても民間企業に対して積極的に賃上げを促す観点から、継続して雇われている方々の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対して、法人税額を控除する措置「賃上げ促進税制」が講じられました。つまり、「企業が従業員の賃金を上げれば、その一部を法人税から差し引いて安くする」ということ。こうした制度は従来からありましたが、今回の改正でさらに拡充した形です。
一方、住宅ローン控除の見直しにあたっては“カーボンニュートラルに向けた対応”が1つの論点でした。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量から、植林、森林管理などによる吸収量などを差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。政府は、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、これを踏まえて住宅ローン控除制度の見直しもおこなわれました。
例えば“省エネ性能の高い認定住宅については、新築住宅・既存住宅ともに借入限度額を上乗せする”など、省エネ性能の高い住宅の購入を促進して、2050年カーボンニュートラルの実現を目指していきます。
財務省では、今回紹介した税制改正についてわかりやすくまとめたパンフレットや動画、さらには、財務省主税局とうんこドリルのコラボにより生まれた小学生向けの勉強ドリル「日本一楽しい税金ドリル」を
Webサイトで公開しています。
和田さんは、「『日本一楽しい税金ドリル』は、ぜひ家族で一緒に見ていただければと思います。また、税に関するパンフレットを活用して、より多くの方に社会を支える税のあり方などについて、主体的に考えていただければ」と話しました。
足立は、「『日本一楽しい税金ドリル』は小学生向けに作られたものだけど、若い子たちと一緒に税金について学んで、もっとポップで楽しい話題として、みんなが話せるような空気感になってくれるとうれしい」と話し、ドリルを活用した広がりに期待を寄せます。
青木は“賃上げ促進税制”に着目。「この30年間、日本の賃金が上がっていないのは大きな課題。税制面からサポートが入って、何とか日本の(平均賃金の)賃上げにつながってほしい」と切望しました。
(左から)青木源太、足立梨花
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/