「週刊文春」編集部の村井弦さんが、6月15日(水)放送のTOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」にゲスト出演。リスナーから届いた担当誌や仕事内容に関する質問に回答しました。
村井さんは、「週刊文春 電子版」のコンテンツディレクターです。高校時代は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが担当していた当番組のコーナー「アジカンLOCKS!」を聴いていた“元生徒(リスナー)”とのことです。
◆リスナーの質問
【週刊文春にはいろんな記事が載っていると思いますが、「この記事はこの日に出そう」という記事を出す日にちは決まっているのですか?】(14歳)
村井:比較的、直前に決まることが多いです。週刊誌は週に1冊、発売日が大体木曜日なんですけど、2日前に校了といって締め切りになるんですね。その締め切りの日に「これを入れよう」と決まることもあるので、最短だと2日前に急遽記事を入れることもあります。一方で、連載小説とかは決まっていたりするんですけど。いわゆるニュース系の記事は、直前に突っ込むみたいな感じで、記事になることのほうが多いです。
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こもり校長:“週刊”って、大変ですよね。
村井:1週間にあの雑誌を1冊作ってるって、結構なハードワークだよなと思います(笑)。
こもり校長:今週出るものを今週中に作る、という感じなんですか? それとも、2週前くらいには出来上がっているものなんですか?
村井:“ある程度出来上がっているもの”と“今週作るもの”が半々になって出る、みたいな感じですね。例えば、漫画や連載小説みたいなものは、ある程度早めから進行できるけど、ニュース記事はその週に熱いものをやりたいので、ギリギリまで引っ張ります。前からあるストックと今週のものを合体させて、1冊になって世の中に出ていく、というのが基本的な週刊誌かなと思います。
【編集者という仕事で、挫折しそうになるのはどんな時ですか? それでも、編集者の仕事をずっと続けられるのはなぜですか?】(17歳)
村井:本質を突いた質問だなと思うんですけど(笑)。編集者って、雑誌でも本でもそうなんですけど、自分が担当したものについては、世の中に出るまですべての責任を負うわけです。1冊の本でも小さい記事でも、「もう無理だ、誰かがやってくれる……」というのは通用しないんです。それは、入社1年目の社員でも20年のベテランでも一緒でして。そのプレッシャーは大きいですよね。
ぺえ教頭:うんうん。
村井:「これ、果たして形になるのかな? ダメかもな」と思うことはありますけど、でもそれを乗り越えて世の中に出て、多くの人が読んで感想が届くということを経験すると、「やっぱり編集者って楽しいよな」って思えるんです。つらいことはあるけど、読んでくれた人の声が届くことで「もうちょっと続けたいな」というのはありますね。そんな山あり谷ありの仕事だな、と思っていますね。
ぺえ教頭:つらいことと楽しいことだったら、どっちのほうが多いですか?
村井:時間的に言うと、うんうん悩んで苦しんでいる時間のほうが長いかもしれないです。でも1回世の中に出てしまうと、苦しんでいたことなんて忘れるくらい嬉しいんです。されにそれが売れたり、たくさんの人に読んでもらったりすると、つらいときのことは忘れちゃいますね。
こもり校長:たしかに、評価されることも大事ですよね。
【電子媒体と紙媒体の違いは何ですか?】(17歳)
村井:難しい話になっちゃうかもしれないんですけど、紙の雑誌からオンライン版になると、記事が全部フラット化するんです。要するに、長い記事も短い記事も、雑誌では扱いが大きい記事も小さい記事も、ネットに出すと受け手には同じような扱いに見えるんです。つまり、コンテンツの価値がフラット化して届く。
こもり校長:たしかに……!
村井:週刊誌の新聞の広告では、右側と左側に大きい記事(見出し)が出ていて、真ん中のほうに小さい記事があるんですけど。あれの時代は、右と左の大きな記事をやっているほうが価値があるよね、となんとなく思っていたんですけど。ネットに出ると、それが全部同じに見えるんです。
ぺえ教頭:あ~。
村井:それのいい面としては、小さい記事をやっていた人も、胸を張って「この記事をやった」と言えるようになるけど、ちょっとした手抜きも通用しない時代になってきたな、というのも感じます。そういう意味で、雑誌媒体は大きな変革期にあるなと思っています。
こもり校長:ネガティブな記事もポジティブな記事も、フラットになるんですね。
村井:そうですね。「こういう意図で読んでほしい」ということが、ネット上ではちょっと違う方向で読まれてしまったりとか。ネット上ですごくバズった記事を紙媒体で探すと、こんな小さい記事なんだ! ということが、結構頻繁に起きるようになっている。そんな時代ですよね。
【少し前から、休刊誌が増えましたよね。出版界の売上はマイナス成長、というニュースも見たことがあります。ぶっちゃけ、ホントにそうなのでしょうか? それでも、出版界に夢を持っている生徒に向けて、ポジティブなメッセージをお願いしたいです!】(17歳)
村井:これは、数字として出ているので隠してもしょうがないですけど、やっぱり紙の雑誌とか本の部数は、昔に比べたら圧倒的に減っているのは事実ですね。ファッション誌の休刊のニュースも、結構あったりしますし。特に、雑誌が厳しくなっているのは事実なんですけど。
ぺえ教頭:うん……。
村井:ただ一方で、私がやっているデジタルの仕事は、まさにこれから伸びていく領域でもありますから。自分がやりたいことを表現する場所が紙からデジタル媒体に変わるというだけで、やることはそんなに変わらないですよね。自分がおもしろいことを伝えていく、という意味では。
こもり校長:うんうん。
村井:なので、“出版”というと紙をイメージするかもしれないんですけど、それ以上にいろんな領域が広がっていますので、おもしろいことがやりたいという人は、ぜひ出版業界を目指してほしいな、と思いますね。
★「SCHOOL OF LOCK!」6/13(mon)-6/17(fri) SPECIAL WEEK★
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聴取期限 2022年6月23日(木)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:SCHOOL OF LOCK!
パーソナリティ:こもり校長、ぺえ教頭
放送日時:月~木曜 22:00~23:55/金曜 22:00~22:55
番組Webサイト ⇒
https://www.tfm.co.jp/lock/