青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。5月22日(日)の放送では、国土交通省水管理・国土保全局 河川環境課長の内藤正彦(ないとう・まさひこ)さんに、「魅力再発見! 暮らしを支えるダムの世界」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、内藤正彦さん、足立梨花
◆暮らしを支える「ダム」4つの役割
ダムとは川の流れをせき止めて水を貯めるための構造物のことで、“水をせき止める本体の高さが15m以上あるもの”と定義されています。また現在、全国には約1,500のダムがあって、巨大なダムを見に行くダムツーリズムが盛り上がっており、多くのダムでさまざまなイベントが開催されています。その観光客向けに、ダム内のレストランや近くの飲食店では、ご飯をダム、カレーをダムの貯水池に見立てて盛りつけた“ダムカレー”が定番になっています。
そんな観光スポットとしても人気のダムですが、その役割は大きく分けると4つあります。まず1つ目は「防災」。大雨のときに上流の水をダムにためて下流に流す水の量を減らすことで、川が増水して溢れてしまうことを防いだり、溢れたとしても水量をできるだけ少なくして被害を減らしています。また、水位を下げることができるので、堤防が決壊するリスクも下がります。
2つ目の役割は「流水の正常な機能の維持」。川の水は、日によって増えたり減ったりしているため、川の水が極端に減って流れが悪くなると、そこで暮らす生き物に影響が出たり、水質が悪くなることも。それらを防ぐために「ダムにためておいた水を、川の水が少ないときにダムから補給して、川の水を増やしています」と内藤さん。
このように、防災や川の環境を守るための役割を担ったダムは主に国が管理している一方で、3つ目の「農業、上水道、工業用水としての利用」や、4つ目の「発電」についての役割を担うダムは、主に民間で管理しています。また、ダムによって1つだけを担うものもあれば、複数を担うものもあったりと役割が違っていきます。
◆観光放水、ダムカレー…魅力いっぱいのダム
富山県立山町に位置する「黒部(くろべ)ダム」は、日本一の高さ(186m)を誇り、大自然に囲まれた絶景スポットとして、数あるダムのなかでも人気を博しています。
そんな黒部ダムの名物といえば、黒部峡谷の景観維持を目的に毎年決まった時期におこなう放水、いわゆる「観光放水」が有名です。「毎秒10トン以上の水が霧状となってダムから放水される様子は迫力があり、運が良ければ放水にかかる虹も見られる」と内藤さん。なお、観光放水期間は6月26日(日)〜10月15日(土)となっています。
他にも人気のダムはたくさんあり、例えば、高知県の「横瀬川(よこぜがわ)ダム」では、なんとダムの壁を使ったクライミングが楽しめます。また、ライトアップをしているダムやダムの湖畔でキャンプができるところも。
内藤さんによると、近年では国や自治体、企業が協力して提供する、建設中のダムを見学するツアーが人気で「群馬県の『八ッ場(やんば)ダム』が人気となりましたが、今でしたら熊本県南阿蘇村に建設中の『立野(たての)ダム』を見学するツアーなどがある」との情報も。このように、公共施設の建設現場に足を運ぶ人が増えており、新たな観光資源としても注目を集めています。
また、発電や農業、上水道などを目的として作られたダムに、防災のために協力してもらうことも。大雨が予測されるときには、「電力会社や土地改良区のみなさんに協力してもらい、水力発電や農業、上水道に使うためにダムにためている水を大雨の3日前から放流してダムの水位を下げておき、大雨のときに通常より多くの雨をためられるようにしてもらっています。こうすることで、防災用のダムがない地域でも大雨による水害のリスクを減らすことができる」と説明します。
また、「将来に備えてしっかりと点検・補修をして、長く使うことも大切です。近年の気候変動に対応していくためにも、ダムを新しく作るだけでなく、古いダムを改造して機能を上げることも求められている」と言います。例えば、鹿児島県さつま町にある「鶴田(つるだ)ダム」は1966年に完成したダムですが、2006年の豪雨災害をきっかけにダムの改造工事を実施。ダムの水位を下げ、大雨を迎えられるようにダムに穴を開けて、新しい放流管を付けたことでダムにためられる水の量を1.3倍に増やしました。
こうした取り組みもあり、昨年7月に発生した豪雨では、川底を掘り下げる工事が進んだこととダムの改造が間に合って、川内川(せんだいがわ)本川の氾濫を防ぐことができました。
あらためて内藤さんは、「ダムは洪水から命を守り、電力を生み出し、水道や農業のための水をためるなど、みなさんの暮らしを支えるために多くの機能を持った施設です。ダムごとにその役割や大きさ、形状が一つひとつ異なりますので、みなさんの地域を支えているダムに興味を持っていただき、見に来ていただきたいと思います。また、ダムには『ダムカレー』と同じぐらい人気の『ダムカード』があります。これにはダムの写真や基本的な情報から、ちょっとマニアックな情報まで、各ダムの情報が凝縮されています。ダム訪問の記念にオススメです」とアピールしました。
足立が、特に関心を示したのはダムカレーとダムカード。「ダム本来の役割はもちろんのこと、観光の目的としてもその場所が有効活用されるということは大事なんだなとあらためて学べました」と話します。
青木も「新しい切り口でダムに親しみが持てるようになってきましたよね」と共感しつつ、“しっかり点検・補修をして長く使うことも大切”“古いダムを改造して機能を上げることも求められている”という内藤さんの言葉に触れ、「これらは大切な視点だなと感じた」と語りました。
(左から)青木源太、足立梨花
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/