俳優・石丸幹二がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「Grand Seiko THE NATURE OF TIME」(毎週土曜12:00~12:25)。各界で活躍するゲストを迎え、毎週1つのキーワードから“自分を支えている本質”を掘り下げて伺っていきます。
2022年6月のマンスリーゲストは、俳優・水谷豊さん。この記事では、現在公開中の映画「太陽とボレロ」について語り合った6月4日(土)放送の模様を紹介します。
(左から)石丸幹二、水谷豊さん
今月は、俳優の水谷豊さんをゲストにお迎えします。14歳でテレビドラマ「バンパイヤ」(フジテレビ系)の主演に抜擢。以降、さまざまなドラマに出演。なかでも「傷だらけの天使」「熱中時代」(ともに日本テレビ系)では、子どもから大人までを巻き込んで多大な影響を与えました。さらに「相棒」(テレビ朝日系)は、20年という長きに渡って続く国民的人気ドラマになっています。また、監督業もおこなっており、これまでに2本の映画を製作。今月には、3作品目となる檀れいさん主演の映画「太陽とボレロ」が公開中です。
そんな水谷さんは、いったい何を大切にしているのでしょうか。
◆映画「太陽とボレロ」制作秘話
石丸:水谷豊監督第3作目となる映画「太陽とボレロ」。実は私も出演しておりますが、舞台となるのはある地方都市のアマチュア交響楽団。そこで繰り広げられる音楽を愛する普通の人々の人間模様を、エンターテインメントとして創り上げております。水谷さん自ら脚本も手がけていらっしゃいますが、この作品のアイデアはどこから生まれたんですか?
水谷:2018年のことなんですが、実現するかどうか分からないけれど「60代で映画を3本撮りたい」と口走っていたわけですね。
石丸:そのときは、もうすでに2本撮っていたんですよね?
水谷:撮っていました。それで、これが不思議なんですけど“3本目は何が良いか”って思ったときに、ふと“クラシックはどうだろう?”って。そこからクラシック・コンサートを観に行き始めたんですね。とても面白いのは、まだ脚本を書く前にタイトルが決まったんです。“タイトルは「太陽とボレロ」にしよう”って。「ボレロ」というのは、30代でしたかね、初めてコンサートへ行って。
石丸:(モーリス・)ラヴェルの「ボレロ」ですか?
水谷:そうです。オーケストラで聴いたときに大感動したのが「ボレロ」だったんですね。あと「太陽」というのは、“当たり前すぎて、みんな忘れているんじゃないか”って思うときがあるんです。太陽のエネルギーで、我々はどれだけ前向きに生きていられるか……ということをね。何か僕は、太陽に“無償の愛”を感じるんです。大体、人ってネガティブなことに寄り添ってくれたり、ロマンチックな想いを分かってくれる「月」に興味がいきがちなんだけど。
石丸:確かにそうですね!
水谷:でも僕は、今回はね、ちょっと前向きになれる太陽のエネルギーが必要だと。映画にも必要だし(時期的に)何か前向きになりたいと(思ったんです)。
石丸:それで「太陽とボレロ」という名前が頭に浮かばれたと。
水谷:そうなんです。
石丸:今回も監督をしながら出演されていましたよね? 僕が現場にいたときに「出るつもりはなかったんだよ」って半分冗談みたいにおっしゃっていたんですけれども、出演を決められたのは(脚本を)書きながらたどり着いたんですか?
水谷:と言いますか、監督だけの信用がまだないと思うんですよね。プロデューサーの方が何人かいらっしゃるじゃないですか。「出なきゃダメですか?」って(聞いたら)「ダメです」って言うんですね。それで、「僕は監督だけでも良いんですけど」って言ったら「いやいやいや」って。そこで“ああそうか、監督だけっていう信用がまだないんだ”って。
石丸:いや、絶対にそんなことはないと思いますよ。水谷さんが俳優として出られると、そこにすごく大きな華が添えられるからだと思います。
水谷:本当ですか(笑)。
◆監督をして分かったこと
石丸:“監督をやりながら演じる”ということを、どのように感じていらっしゃいますか?
水谷:監督をやって分かったことがあるんですね。俳優をやっているときは、監督っていうのは、全員と打ち合わせをしたり、全部にカットを割って画を決めたり、脚本にないアイデアも含めて、そういうことを全部考えていく……、そんなすごく大変な仕事だなと思っていたんです。でも監督をやってみると、そこに関しては“ただやっている”というだけで、逆に“俳優さんって大変だな”って思うんですよ(笑)。
石丸:違う視点になるから?
水谷:そうなんです。だから、監督をやっているときは“俳優って大変だな”、俳優をやっているときは“監督って大変だな”と感じることが分かりましたね。
石丸:どちらも大変な仕事だということですね。
水谷:きっと、どちらも大変なんでしょうね。でも(監督と俳優を)行ったり来たりするときには、“さあ、ここから監督ですよ”“さあ、ここから俳優ですよ”という意識はまったく切り替えないままでいますからね。
石丸:そういうものですか。
水谷:ええ。
石丸:僕は同じ現場にいて(気付いたことは)、いつもメガホンを取っていらっしゃる水谷さんが、演じ手として入ったときに“パッ”とカラーが変わるんですよね。いわゆる、そのときは“俳優”としてそこにいて、“監督”のオーラを消しているというか、出していないんですよね。この切り替えをどうしているんだろうと思っていたんですけども、まったく意識されていないんですね。
水谷:そうですね。オートマチックなんです。だから何も意識はしてない。
石丸:これは水谷さんの“技”ですね。
水谷:ありがとうございます。でもね、僕は(「太陽とボレロ」に関しては)主に監督でしたから、例えば石丸さんをカット割りして動きをつけたりしましたけども、(映画館では)ただの観客になれますね。
石丸:そうなんですね。
水谷:それでね、僕は石丸さんに癒やされるんですよ。
石丸:私にですか!?
水谷:そうです。今回のキャラクターが特にそうだったのかもしれませんけれどもね。現場では言うわけにもいかないので、あえて言わなかったのですが。
石丸:本当ですか、ありがとうございます。僕も初めて話しますけれども、“すごいバリバリの2枚目の役でいこう”と思っていたんですよ(笑)。そうしましたら、水谷さんからの「こうしてみて」「ああしたら良いんじゃない?」というアドバイスがあって操られるように演じていたら、面白いキャラクターなっていたんですよね。僕のなかにあるものを見抜いて指示を出してくださったんだと思ったら、すごくうれしくなっちゃいました。
「太陽とボレロ」は、“水谷さんの俳優としての顔”も皆さんにご覧になっていただきたいですし、“監督としてこういう采配をふるった”という視点でも、ぜひご覧になっていただきたいと思います。
水谷:ありがとうございます。
次回6月11日(土)の放送も、引き続き水谷豊さんをお迎えしてお届けします。どうぞお楽しみに!
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聴取期限 2022年6月12日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:Grand Seiko THE NATURE OF TIME
放送日時:毎週土曜 12:00~12:25
パーソナリティ:石丸幹二
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/nature/