UNIVERSITY of CREATIVITY(UoC)共同編集長の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするinterfmの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。
4月20日(水)の放送では、一般社団法人ワンジェネレーション代表理事の鮎川詢裕子(あゆかわ・じゅんこ)さんがゲストに登場。気候危機問題を取り扱った書籍について語ってくれました。
(左から)Hide、鮎川詢裕子さん、Misa
人と組織の潜在的な力を発揮させるため、個人や企業に対してコーチングや組織開発コンサルタントに尽力する一方、環境問題にも取り組んでおり、「DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法」(ボール・ホーケン編著/山と渓谷社)や「Regeneration リジェネレーション 再生 気候危機を今の世代で終わらせる」(ボール・ホーケン編著/山と渓谷社)の出版プロデュースなども手掛けています。
◆日々の暮らしのなかで「リジェネレーション」を意識する大切さ
Hide:「Regeneration リジェネレーション 再生 気候危機を今の世代で終わらせる」という本を出版プロデュースされたわけですけども、その本を子どもたちに届けるクラウドファンディングも始められたとお聞きしました。まず、どういった本なのか説明していただけますか?
鮎川:リジェネレーション、再生という概念なんですけども、自然というものはどれも命が継がれていくものですよね。例えば、葉っぱが枯れて、土になって、養分になって、次の生命になっていくように。
Hide:循環していくわけですね。
鮎川:循環して次の命が常に生まれている。そういった状態のことをリジェネレーションと言っているんですね。リジェネレーションというものが自然のなかでは当たり前のように起きているんですけども、現代の暮らしにおいてはそういうものが少ないんですね。その現状が気候危機にも繋がっているし、格差、産業、人々の暮らしといったものの繋がりを分断しているんです。
リジェネレーションというものは、実は私たちのなかには備わっているんですね。子どものことを大事に思うとか、家族を大切にする、ペットを愛おしむというように、何かを大切にする感覚が人にはあるんです。環境とか普段の暮らしも大切にすることが、結果として気候危機や温暖化といった、地球全体の再生に繋がっている。そういったコンセプトの本です。
Hide:ポール・ホーケンという編集者の方が世界中の科学者やライターの方に協力してもらって、「命を大事にする」「すべての行動の決定の中心に生命を置く」というコンセプトを基に、いろんな施策を載せてあるんですよね。
鮎川:そうですね。元々は「DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法」という本ができていて、そちらは公になった科学的な根拠を基にした100の方法を紹介しています。どちらかというと“左脳的”な本です。
Hide:科学者が地球温暖化を逆転させるために、科学的な100の方法をまとめた本なんですよね。こちらの本はゼミでも参考にさせていただきました。
Misa:逆転させるやり方が書かれているんですか?
Hide:そう。そのやり方を科学的に割り出している本です。
鮎川:効果的な順番にリスト化、モデル化したものなんですね。SDGsとかカーボンニュートラルとか、いろんなことをやる必要があって取り組み始めているけれども、「やらなきゃいけないからやるものではない。追加でやるものではないですよ」ってことを、「Regeneration リジェネレーション 再生 気候危機を今の世代で終わらせる」では書いているんですね。
前提として、生きている私たちが人として、あるいは産業として“自然を退化させている”ことをまずは受け入れることが必要なんです。そのことを受け止めずに何かをやっても、本質的なことは変わらないと思うんですよ。受け止めたときに、本質的なシフトが始まるんじゃないかという考えです。
Hide:行動だったりマインドのシフトが始まると。
鮎川:そうですね。
Misa:行動に移す動機が重要なんですね。
鮎川:はい。すべては繋がりあっているんです。「今持っているペンがどうやってできたのか」といったことに関心を寄せたときに何かが変わりだすというか。リジェネレーションでは海の話から始まっているんですけども、そこから森林、人々、都市の話が出てくるんですね。生き物が海から陸上にやってきて、そして……っていう順番で展開しているんじゃないかなっていう話をしています。
Hide:写真もたくさんあるし、数値やファクトがしっかり入った本ですよね。
鮎川:書籍では、「昔の海にはカキがいっぱいいて、海もすごく透明だった。今はカキが少なくなっていて、海は濁っている」と書かれているんですね。そのことしか書いていないんだけども、「そういえば私たちってカキを食べているな」と、ドキッとさせられるんです。私たちの選択が世界に影響しているんだなってことが、本を読んでいるとわかってくる構成になっています。
Hide:映画の『不都合な真実』とか、不幸なことばかり見せられると暗い気分になっちゃうんですよね。この本のいいところは、「こんな楽しい動きがあるよ」「いい再生の動きが始まっているよ」ってことも書かれていることです。読んでいると希望が持てます。
◆自ら気づいたときに人は変わり、世界が変わる
Hide:UoCの立ち上げの頃に「DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法」の英語版を読んでいて、日本語版が出ないかなと思っていたら、鮎川さんと知り合ったんですよね。
深いところで近いものを目指しているんだなって思ったから、今ではすっかりお友だちみたいな感じになりました(笑)。UoCが始まってから、そういう友だちが増えている感じがするので、深いところで目指しているものに共感があると、仲間になりやすいなという気がしますね。
鮎川:昔からの知り合いみたいな感覚ですよね。
Hide:そうですね!
Misa:私は普段、アートディレクターとかデザイナーをやっているんですね。海外の作品を見たときに、言葉は違うけれども「あの人たちを繋げてあげたい」「この問題を解決したい」といった動機で作っているものに関しては、すごく共感できるんですよ。自分たちもそういうことを考えて作ると、海外の人たちからいい反応をいただけるんですよね。
鮎川:そういった“見えないところ”に、大切なものが備わっているんじゃないかと感じますよね。
Misa:そうかもしれない。人を動かすときに「あれをやっておいて」って言うと全然動いてくれないけれど、「これをやるために君が必要なんだ」と伝えると動いてくれますもんね。
鮎川:そうそう。
Hide:(デール・)カーネギーの「人を動かす」のようなね。そういった本も書かれていますよね?
鮎川:はい。『最高のリーダーほど教えない ―部下が自ら成長する「気づき」のマネジメント』(かんき出版)という本を書きました。
Hide:気候危機や再生を“気づかせる”本が、「Regeneration リジェネレーション 再生 気候危機を今の世代で終わらせる」ということですね。
鮎川:そうですね。気づくって、常に自らでしか起きないんです。自ら気づいたときに人は変わるから、そういった人が増えたらいいなと思うし、実際に世界がそうやって変わっていったらすごいなと思います。
次回4月27日(水)の放送では、UoCが進行しているプロジェクト「AIラッパー」について詳しくご紹介します。お楽しみに!
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聴取期限 2022年4月28日(木)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:
hhttps://www.interfm.co.jp/mandala