吉田美穂がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DUNLOP presents みらい図鑑」。日本の美しい風景、地域で受け継がれる伝統、志を持って活動する人など、100年後の地球に生きる子どもたちへ繋げていきたい“ヒト・モノ・コト”を紹介しています。今回の放送では、「かざり工芸三浦」の三浦孝之さんにお話を伺いました。
さまざまな細工が魅力の「かざりかんざし」
女性の髪を美しく彩ってきた、かんざし。そのルーツは、縄文時代までさかのぼります。生命力豊かな自然の草花を髪に挿して、悪いものから身を守る、「お守り」や「魔除け」としての役割を果たしていました。
時代と共に進化したかんざしが、脚光を浴びるのは江戸時代。日本髪の定着に伴い、髪型に合わせて、さまざまな飾りが作られるようになっていきました。
三浦さんは4代目として家業を継ぐため、それまで勤めた広告代理店を退職し、かざりかんざしの世界に飛び込んだ異色の経歴を持つ職人さん。動物や植物をモチーフに、さまざまな細工を施したかんざしを、一つひとつ作っています。
「縁起の良い柄っていいますかね、たとえば“カタバミ”という草花があるんですけど、よく野原とか植木とかに生えてきちゃって、雑草扱いされてしまう草花なんです。昔の人の感性というのは“摘んでも摘んでも生えてくる”ということで、不滅や繁栄というように、良い意味で捉えてきたんですね。そういう縁起も知ってもらいながら、使ってもらっています」
1本1本、意味を持つ「かざりかんざし」
トンボもかんざしの代表的な図柄です。トンボの別名は、“勝ち虫”。後ずさりせず、一直線に進んで獲物を捕らえる姿から、縁起の良い虫と言われ、戦国時代には甲冑の飾りにも施されていました。
かんざしは、髪を止める道具ではあるけれど、そのモチーフにはどんな意味があるかも伝えていきたいと語ります。
単に美しいものをつけるだけでなく、モチーフの意味を知ると、心の持ち様も変わってくる。それが、作り手としての喜びにつながると言います。
「かんざしって、1本作ると長く使ってもらえます。3代使ってもらって、100年後に、自分が作ったかんざしが話題になっていたら、職人冥利につきますよね」
1本1本、意味を持った細工を施して作る「かざりかんざし」。その職人魂は100年後を見据えています。
<番組概要>
番組名:DUNLOP presents みらい図鑑
放送日時:毎週土曜13:55~14:00
パーソナリティ:吉田美穂
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/miraizukan/index.php