UNIVERSITY of CREATIVITY(UoC) 共同編集長の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするinterfmの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。
8月10日(水)の放送では、UoCアートディレクターのユウスケ(波戸祐輔)さんがゲストに登場。現在研究を進めている“屋台”と、それに伴うプロジェクトについて語ってくれました。
(左から)ユウスケさん、Hide(モニター画面)、Misa
ユウスケさんは、日本人の根底にある感性、生き方を現代にリデザインするプロジェクト「IKI&SUKI」主宰を務め、「HANMO」のブランドディレクター、マーケットプレイス「iichi」のアートディレクターなど、多岐に渡って活動しています。縁日の出店に注目し、「YATAI project」を発足。UoCで「Create Liveliness YATAIにぎわいのモジュール」と題して、全10回にわたるゼミを開催しました。
◆屋台文化を研究するようになったきっかけ
Misa:私は今、UoC内にある、波戸さんが研究しているYATAIを模したブースの中にいます。身体2つ分くらいのミニマムなつくりなんですが、屋台のカウンターからお客さんを迎え入れるような雰囲気がありますね。カウンター越しに波戸さん、(リモート出演の)Hideさんと対面する形でお話をさせてもらっています。
Hide:ユウちゃん(波戸さん)が研究中のYATAIのプロトタイプだそうですね。
Misa:毎回ここでもいいぐらい、素敵な空間ですよね。
Hide:今日はユウちゃんとYATAIを用いた社会創造について語らっていきます。
波戸:よろしくお願いします。プロトタイプのYATAIはどうですか? 女将みたいになっていますけども。
Misa:私がですか(笑)? 確かに 「へい、らっしゃい」的な感じで、日本酒なんかを出したくなりますね。
波戸:空間として居心地がよくないですか?
Misa:居心地がいいですし、人が集まってきそうな雰囲気があります。波戸さんは屋台について研究をされていて、YATAIのプロトタイプを作られましたけども、どういったことを研究しているのでしょうか?
波戸:屋台というのは方法のひとつだと思っていて、目的は賑わいの醸成の研究を進めたいと思っています。デザイナーという立場で、いろいろなプロジェクトや事業に携わらせてもらうなかで、都市や文化の問題に行きつくことが多いんですね。すると「未来の都市はどうあればいいんだろうか?」という問いが生まれてきたんです。
一方で、自分は日本の“粋”について研究をする「IKI&SUKI」というプロジェクトを5年前ぐらいから進めていまして、そこで団扇とお面を組み合わせた、ハレの日のための団扇を開発したんですね。そうした研究とデザインを重ねていくうちに、江戸時代の屋台文化のアニミズム性に出会って衝撃を受けたんです。
Misa:おお。
波戸:江戸時代には職業がたくさんあって、多様性に満ちているんですね。身分の高い女性がオナラをしたときに、その身代わりをする人が存在したほどです。同じように屋台も多様性に満ちていたっていうことも研究で知ることになりました。江戸時代にあった「まさか!」って感じの屋台のあり方に、現在の屋台がちょっと負けているなと思ったんです。ただ逆に可能性があるなとも感じたんですよね。
◆コンパクトサイズの屋台を開発中
波戸:研究の便宜上、屋台をS、M、L、XLで分けていまして、Lサイズでいうと今(需要が)非常に伸びているフードトラックが該当します。Mサイズは自転車についているような屋台です。我々が今やりたいと思っている屋台のサイズがSでして、「出会いに行く屋台」です。
昔、DJはレコード盤をトランクに入れて、街から街へと移動した様が文化だった時代があったと思うんですよ。同じようにパパっと広げて、ササっと小商いを始めて、そこに人がぞろぞろと集まってくる、そんなことが起こるといいなと思って、ミニマム屋台を研究しております。
Misa:サイズはどれぐらいなのでしょうか?
波戸:飛行機の追加料金がかからずに(機内に)持ち込めるようなサイズを割り出して、そこから逆算しています。
Hide:機内持ち込みができる屋台。
波戸:テーブルや椅子とかを含めると難しい問題はあったりするんですけど、サイズは小さい方が商いをしやすいですよね。そういうものをみんなで追い求めています。
Misa:お酒とかも出せそうですよね。
波戸:食に限らず“事”の屋台もできます。たとえば、昔あった包丁研ぎの屋台みたいなものとか紙芝居とか。
Hide:昔はあらゆる小商いがあったみたいだし、いろんなアプローチができそうですね。
波戸:そうそう。
◆コロナ禍が明けると“屋台ブーム”が来る!?
Hide:以前訪れたトルコもそうだったんですけど、アジアにはたくさん屋台がありますよね。東洋的な屋台と西洋的な屋台って何か違いはあるんですかね?
波戸:マルシェ的な部分が(西洋的な屋台には)あると思います。
Hide:ああ~。
Misa:マルシェだといっぱい人が集まるイメージがありますけど、日本の屋台って1店舗でも成立しますよね。
波戸:ぽつんとね。ラーメンの屋台とかそうですよね。屋台が出しづらい原因ってたくさんあるんですけど、例えば、食品衛生面の規則が厳しかったり、昔ながらの習わしだったり。もちろん、コロナ禍も影響していると思いますし。人間って賑わいとか、たむろできる場所とかを求める生き物なんじゃないのかなと思っているので、コロナ禍が明けるとそういった反動が絶対に来るんじゃないかな、と我々は信じております。
◆YATAIという言葉が世界中に浸透してほしい
Misa:波戸さんのYATAIってローマ字になっていますけども、海外でも使ってもらうことを想定していますか?
波戸:ツッコまれた(笑)。ちょっと恥ずかしいんですけど、何でも横文字にすればいいってことではないんですけどね。
Hide:うんうん。屋台って、まだ海外で通じる言葉になっていないんですよね?
波戸:そうなんですよ。SUSHI、SAMURAI、KABUKIぐらい、YATAIが世界の共通語になればいいなという思いがあります。
Hide:ユウちゃんが目指しているYATAIの今後の展望を教えてください。
波戸:YATAIを出店される方が、使いやすくて多様性を生み出すことのできるモジュールやサービスができたらいいなと思っています。夢のひとつとして、ぜひ一度、ラジオ屋台をやってみたいですね。
出張ラジオはやっていると思うんですけど、YATAIに音響のテクノロジーを積んで、オーディエンスがその場に集まって、その場限りのラジオ収録が可能なモジュールができたら、ラジオ文化がさらに発展するんじゃないかなと思っています。
Misa:たしかに!
Hide:移動型のラジオステーション。技術的にもできるでしょうし、イベントだといろんな人が参加できそう。
波戸:ぜひそういった体験を、一緒に作れればなと思っています。
Hide:いいですね。
Misa:では最後に、番組恒例の質問を。波戸さんにとってワクワクする社会創造のタネは何ですか?
波戸:クリエイションの基本のキと言ったらそれまでなんですけど、「未来想像のエスキース」をすごく大事にしたいと最近は思っているんですね。
Hide:エスキースって下絵みたいなことでしたっけ。
波戸:そうですね、スケッチです。アイデアとしていいのか悪いのかを判断するとき、脳が考えたことを手が紙の上に写してくれるわけじゃないですか。それを目から入力したときに、僕がどう思うのか。そういう基本のキの行為を繰り返すことは、想像していく上で大切だなと思っています。
次回8月17日(水)は、東京と長野の二拠点生活を送る実業家でタレントの武藤千春さんがゲストに登場します。お楽しみに!
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ここで、UoCからのお知らせです。先月、7月28日から「ダイバーシティ エクイティ&インクルージョン」、DE&Iをテーマにした、新シリーズムービー「JOINnovator!」がスタートしまた。毎回さまざまな分野で革新的な取り組みを行っているイノベーターの方々に登場いただき、DE&Iを推進する上での課題、イノベーションへのヒントを伺っています。
こちらの
公式web、もしくは
UoCのYouTube ch で観ることができますので、ぜひ覗いてみてください。
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聴取期限 2022年8月18日(木)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:
hhttps://www.interfm.co.jp/mandala